昨年、イオンが発売した「ラクルスタイル ベーシックリュック」(現在は廃番)=千葉県船橋市、米倉昭仁撮影

 当初、ラクルスタイルは3モデルがあった。しかし、今年からは一般的なリュック型はなくなり、一番人気があった「ランドセル型リュック」のみを販売している。

 ランドセル型リュックに人気が集まった理由について、「ランドセルの形に近いほうが、使用イメージが湧きやすく、周囲とのなじみもよいと考える方が多かったのではないか」と同社は推察する。

 人工皮革だった「かぶせ」部分も再生ポリエステルにし、さらなる軽量化を図った最新モデルの重量は780グラム。価格は2万7500円だ。

 生地には撥水加工が施され、雨水などが染み込まないようにしてある。ただ、ポリエステルの耐久性は人工皮革より劣る部分があるという。
 

手を挙げたモンベル

 ランドセルの重さとともに懸念されていたのが、「高価格化」だ。

 日本鞄協会・ランドセル工業会によると、23年のランドセルの平均購入金額は5万9138円。18年と比較して約8千円も増えた。

 ランドセルの価格上昇が気になっていた富山県立山町の舟橋貴之町長は、新入生に通学用リュックを無償配布する方針を決定。

 通学用リュックを開発・製造する業者を公募したところ、17年から同町と包括連携協定を結んでいたアウトドア用品大手のモンベル(大阪市)が手を挙げ、審査の結果、同社に決まった。

 そしてモンベルは2年前、通学用リュック「わんパック」を開発。重さは930グラム。一般販売価格は1万4850円だ。
 

モンベルの「わんパック」。容量は14、15、16リットルの3種類がある。カラーは各4色=東京都内、米倉昭仁撮影

 町が求めたのは、ランドセルと同等の機能と耐久性。これに対して、モンベル広報部の黒瀬美保係長は、

「われわれは、登山用品の開発で培ったものづくりの技術のなかで、素材や機能を熟知しています。そのなかで、リュックとしての耐久性と軽量性、価格面でのバランスが難しかった」

 と振り返る。

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生かされた登山用ザックの技術