「かぶせ」と呼ばれるふたに人工皮革が使用し、主素材にナイロンを採用した高島屋オリジナルの通学用リュック=東京都内、米倉昭仁撮影

ランドセルで腰痛に

 高島屋が、軽量な素材で作った「通学用リュック」を初めて発売したのは2022年。腰の痛みを訴える小さな子どもが増え、ランドセルの重さを気にする保護者が増えてきたのだという。

 同年、学校用品を企画販売するフットマーク社が、1200名の小学1~3年生とその保護者を対象に「ランドセルの重さに関する意識調査」を実施。約9割の子どもが「通学時のランドセルが重い」と感じていたことがわかった。

 教科書のページ数や副教材が増えただけでなく、タブレット端末、暑い時期は熱中症予防のために水筒も持ち運ぶことになる。

 この調査では、登下校時に持っている荷物の平均重量は4.28キロにのぼり、7割の子どもが3キロ以上の荷物を背負っていたことも明らかになった。
 

 子どもに関する消費ビジネスを研究する大正大学の白土健教授は、小さな体で3キロ以上の荷物を背負って通学を続けると、筋肉痛や腰痛など身体的影響に加え、心身の不調を訴える「ランドセル症候群」になってしまうことがあると訴える。

 日本鞄協会・ランドセル工業会によると、一般的なランドセルの重量は天然皮革のものが1400グラム前後、人工皮革製は1200グラム前後。それに教科書などを入れると6キロあまりになる。

 そのため、「少しでも軽いランドセルがほしい」というニーズが高まっているのだ。
 

イオンのランドセル型リュック「かるすぽ ラクルスタイル」(780グラム)=千葉県船橋市、米倉昭仁撮影

リュック型が廃番になった理由

 20年以上前からランドセルを手掛けてきた流通大手イオン(千葉市)も、昨年から特に軽さを追求した「ラクルスタイル」シリーズをラインアップに加えた。

 従来製品は人工皮革で作られているのに対して、ラクルスタイルは環境に配慮した再生ポリエステルの生地を使用することで1キロ以下の重量を実現した。
 

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「高価格化」も問題に