優勝し、照ノ富士(左)から水をつけられる尊富士(右)=2024年3月24日
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 110年ぶりの新入幕優勝という快挙を達成した尊富士。初土俵から10場所目の優勝も、従来の記録を大幅に上回る圧巻のスピードだ。注目の若手力士は尊富士だけではない。有望力士たちを紹介する。AERA 2024年4月8日号より。

【写真】オープンカーに乗って優勝パレードに出発する尊富士

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 尊富士の活躍に、他の若手力士も黙ってはいない。その筆頭が、入門前に高校や大学でアマチュア相撲の実績を積んで入門すると、番付の途中からスタートできる「付け出し組」である伯桜鵬(はくおうほう)と大(おお)の里(さと)だ。

 伯桜鵬は春場所の十両以上の力士の中で最も若い20歳。尊富士の鳥取城北高校の4学年後輩で、高校時代に2年連続高校横綱に輝いた。卒業後は大学に進まずに相撲を続けて1年目に実業団横綱になり、幕下15枚目格付け出しでデビューした。大学に進まないケースでは異例のことだ。しかも、幕下を1場所で通過して新十両という史上初の快挙を成し遂げ、新入幕の昨年名古屋場所は、今場所の尊富士に勝るとも劣らない活躍で、千秋楽まで優勝を争って11勝を挙げた。その直後、肩の負傷で休場が続いて幕下まで陥落し、今は復活の途上だが、逸材との評価は揺るがない。

 大の里は尊富士の1学年下で、日体大で学生横綱1回、アマ横綱2回などタイトル14。最高ランクの幕下10枚目格付け出しで初土俵を踏み、わずか4場所で新入幕の今年初場所、9日目まで首位に並ぶ活躍で、新入幕優勝は逃したが11勝を挙げた。幕内2場所目の春場所も尊富士と優勝を争った。10日目の直接対決で敗れ、千秋楽には1差で逆転優勝の可能性があったが逃した。しかし、もしも次の夏場所で優勝すれば、尊富士の記録をさらに更新する初土俵から7場所目での優勝となる。その可能性は十分だ。

 高校時代にしのぎを削った力士たちにも注目だ。春場所12日目、全勝街道を突き進んでいた尊富士に初黒星をつけたのが大関豊昇龍(ほうしょうりゅう)。同学年で、尊富士が高校3年で3位になったインターハイでは準優勝している。大学には進まず、一足先に入門してすでに幕内22場所目。優勝も経験し番付は大関だ。尊富士との対戦が決まった時から「同学年だからやりたいと思っていた」と手ぐすねを引き、見事に黒星をつけた。

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