たとえば、ある塾の先生を取材した時、雑談の中でこんなことを聞かれたことがあります。

「お母さんたちに入塾を勧める時、塾関係者の人たちがよく使うフレーズって何だと思う?」(先生)

「『お子さんには才能がありますよ』かな」(私)

「ハズレ。答えは『みんなやってますよ』。結局、親御さんたちのいちばんの心配は、自分の子が周りと比べて後れをとっていないか、なんですよ」(先生)

「もちろん、うちはそんな勧誘はしないけどね」と先生は笑っていましたが、ドキリとしました。まさに「みんなやっていますよ」はキラーワードです。

 子どもに個性を求めるなら、まずは親がこの「みんなと一緒」であることの安心感から離れる勇気が必要です。

 日本はもともと「みんなと同じであれ」という同調圧力が強い国と言われます。その同調圧力の正体を知り、そこから離れるための参考書としておすすめなのが『「空気」を読んでも従わない 生き苦しさからラクになる』(鴻上尚史著・岩波ジュニア新書)です。

 著者の鴻上尚史さんは、同調圧力について長年観察をし、関連書籍を多く発表しています。これを読むとなぜ日本人が「みんなと一緒」を好むのかがしっくりきます。

■キーワードは「世間」と「社会」

 学校や会社の仲間、ママ友、近所の人たちなど自分と関係がある人たちは「世間」。なんの関係もない人たちは「社会」。

「『世間』には、『みんなと同じことをしなければいけない。みんなと同じ格好をしなければいけない。みんなと同じことを言わないといけない』というプレッシャーというか圧力があります。少し難しい言葉で『同調圧力』と言います」(『「空気」を読んでも従わない 生き苦しさからラクになる』から)

 つまり、「みんなと一緒」のつらさから抜け出すためには、「世間」とどう付き合っていけばいいのかを学べばいい、ということがわかります。

 また、スマホでつながればつながるほど実は孤独や不安を感じる人が多くなっていることも書かれています。スマホにはまりやすい人は必読です。

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