日常を離れた旅先は、子どもの「自分で考え、動く力」を育む絶好の舞台です。 「親子が“旅仲間”として過ごすことが大切」という旅育のプロ・村田和子さんに、「旅」を子どもの学びと成長の機会にするための極意を聞きました。子育て情報誌「AERA with Kids 2025年夏号」(朝日新聞出版)から紹介します。

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旅を通して、世界の広さを知り自己肯定感を高める

「旅先で、日常では出会えない世界観や多様な人々に接することは、子どもの関心や才能が花開くきっかけになります」

 こう話すのは、旅行ジャーナリストの村田和子さん。村田さんは、「旅育」とは、「旅で親子の絆を深め、子どもの生きる力を育むこと」と定義しています。

 「たとえば、旅先で非日常の環境に身を置くことで、『これなに?』などの疑問が自然と芽生え、自分で調べて知ろうとする探究心が育まれます。地元の人に道を聞いたり、地図を読んだりする体験を通じて、コミュニケーション力や判断力、問題解決力も、自然と養われるんです」

 また、親がすべて決めるのではなく、旅の準備から子どもが参加することで、「責任感や計画力が育つ」と村田さんは強調します。

 「旅にまつわる、さまざまな『自分でできた!』という体験が自己肯定感につながり、子どもの成長の土台となります。親が『教えてあげよう』『学ばせよう』と思わなくても、子どもから自然と湧き上がる興味や関心に寄り添うことで、学びへとつながります」

 そして、旅育の礎となるのが、旅のなかでの親子の関係です。

 「旅では、子どもと“旅仲間”になってみてください。友達どうしのような目線で旅をすることで、自然に子どもと対等な関係となり、絆も深まります」

村田和子さんの話を元に編集部が作成

ワクワク・学びを深める旅のHow to

 旅の計画、現地での体験、帰ってからの振り返り──そのすべてが、子どもの「生きる力」を育むヒントに。学びを深める旅の進め方をご紹介します。

(1)準備編 旅の成功は準備で決まる

 行き先や予算、持ち物の準備など、正解のないなかで選択を重ねる経験は、未来を見通し、自分で考えて決める力を育てます。

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