大学受験の結果を見ると、都内近郊では私立の中高一貫校の躍進が目覚ましい。3年という短い期間で、志望校合格をつかみ取る原動力はどこにあるのか。滝澤さんは、文化祭と合唱祭、体育祭の「三大行事」の存在が大きいと指摘する。
「文化祭にあたる『星陵祭』では、全クラスが演劇に取り組みます。演じるのはもちろん、音響や照明、舞台装置などすべてを生徒たちが考えていく。1年生のときは、間に合わせるのに精一杯で思い通りにならないことも多いんです」
2年生になるとオーディションを取り入れたり、プランを何度も練ったりするようになる。
「ただ、今度は部活動が忙しくなる時期なのでクラス活動に時間を割けなくなる。悔しい思いをしてしまうこともあります」
そして迎える最後の星陵祭。3年に上がるときはクラス替えがないため、2年生の後半から、台本や演出の話し合いが始まる。この頃には、勉強とのバランスを考えたタイムマネジメントを意識するようになるという。
「行事が時間を作り出すというか、いいサイクルだと思います。いざ行事が終わると、『たくさん勉強できる!』と感じて、ものすごく集中できるようになっているんです」
(編集部・福井しほ)
※AERA 2024年3月18日号から。合格者数はサンデー毎日、大学通信の共同調査を基にした速報値