筋トレない生活なんて

 食品関連の会社で働く40代の女性は、今年に入り「飲み会は週2回まで」と決めた。社内外から誘いも多いが、吟味して参加を決めるようにした。時に、ノンアルコールドリンクで通すこともある。それもこれも、筋トレのパフォーマンスを上げたいから。

 仕事が多忙すぎ、飲んだり食べたりする機会が増え、いつの間にか人生最大に太っていた。痩せるためにジムに入会したが、終わった後のなんともいえない爽快感が病みつきになり、筋トレをしない生活は考えられなくなった。筋肉量はチェックするが、体重はどうでもいい。ジムに行くために朝5時に起きる。逆算して、何時にベッドに入ればいいか、何時に仕事を終えればいいか、そのためにはどう進めていくか。「仕事が忙しすぎて、筋トレする時間なんて取れない」はウソだと、自身の経験から痛感している。

 さて、記者の話もしよう。「筋トレって自己啓発になりますかね?」と本企画の話が来た時小躍りしてしまったのは、体が変わる以外の筋トレの効能を日々実感しているから。前出の谷口さんの話ではないが、確実に成功体験を得られるので、メンタルへの好影響は計り知れない。筋トレを通してさまざまな年齢&バックボーンの人と親しくなり、世界が広がった。企画や取材したい人を得たことも数えきれないほどある。

 万歳、筋トレ。(ライター・羽根田真智)

AERA 2024年4月1日号より抜粋

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