奇跡的にチケットが取れて、現地で観戦した木村さん一家と友人。「海外の人ばかりで、日本の試合とはテンションが全然違いました」(写真:木村香さん提供)

 韓国・ソウルで開催された大谷翔平ドジャースデビュー戦。日本と韓国の盛り上がりはいかほどだったのか。AERA 2024年4月1日号より。

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「確約」されたチケットは1枚だけ。わずかな期待をこめて、家族3人で韓国に渡った。

 日本が誇るメジャーリーガー・大谷翔平のドジャースデビュー戦が3月20日、ソウルの高尺スカイドームで幕を開けた。座席数約1万7千席とプロ野球の試合を開催する球場としてはやや小規模なこともあり、チケットはまたたく間にプラチナ化した。大手旅行会社のJTBは、観戦ツアーチケットを販売。開幕戦と第2戦の2試合とも観戦できる4日間コースと、どちらか1試合のみの3日間コースの三つを用意したが、その倍率は200倍とも報じられている。

家族3人で球場観戦

 大阪府に住む木村香さん(40)も、大谷の活躍を見届けるべく、夫(51)と中学2年生の息子とともにソウル入り。だが、この時点で手元にあったのは、現地の友人が取った開幕2戦目のチケット1枚だけだった。

「他に譲ってくれる人が見つからなかったら、息子だけ球場に入れて、近くのスポーツバーで観戦しようと話していました」

 試合3日前に友人から「(みんなで)入れるかも」と連絡があった。だが、日本と同じく「チケット詐欺」もあるため、本当に手に入るのか、半信半疑だった。それでも、運良くチケットを余らせていた人を見つけ、家族3人で球場に入ることができた。

 香さんが座ったのは、ドジャースの応援団がいるスタンド席。周囲のほとんどが大谷の背番号の、「17」のユニフォームを身につけ、大谷への期待を感じたという。

「隣の韓国人カップルは、応援ボードに日本語で『大谷サインをお願いします』って書いていました。残念ながら試合は負けてしまいましたが、大谷が出るときが一番球場も盛り上がっていましたよ」

打席に立つたびに歓声

 球場周辺には、メジャーリーグベースボール(MLB)関連のポップアップストアもオープン。ファンの熱狂を感じ取ってか、大谷と、韓国出身で対戦相手のパドレス所属の金河成だけ独立したポップアップストアができていたという。

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福井しほ

福井しほ

大阪生まれ、大阪育ち。

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