「チケットを取れなかった人もたくさんいたし、大谷選手や山本由伸選手のモノマネ芸人もいて、にぎわっていました。試合もめちゃくちゃよかったです」

 一方、日本での盛り上がりはいかほどだったか。

 第2戦が行われた21日夜、東京・新橋のバー「SHEFEI」では、約20人のファンが試合を見守っていた。仕事帰りに駆けつけたという男性のお目当ても、やはり大谷。当日朝に報じられた通訳の水原一平氏の解雇騒動には衝撃を受けたが、「プロなので、プライベートと試合は別。あまり影響しないのでは」と楽しみにしていた。

 同店がパブリックビューイングを行うのは、今回が初めて。昨年末の店舗リニューアル以降、常連客以外にも店を訪れてほしいとイベントを温めてきた。前日の開幕戦は祝日だったこともあり、客入りはまずまずだったが、店主の柿?匠さん(28)は、MLB効果に期待を寄せる。

「大谷選手だから、世間も注目している。SNSでの告知のリアクションも大きく、野球ファンの多さを感じています」

 店内では、大谷が打席に立つたびに歓声が上がり、試合が進むごとにその声も大きくなっていった。惜しくも11対15でパドレスに敗北を喫したが、3時間42分の壮絶な打ち合いが終わった後は、どこからともなく拍手が広がった。

 自宅のテレビで観戦した女性は言う。

「いつもより(大谷の)笑顔が少ない気がしましたが、犠牲フライを打ったときは『さすが大谷!』と感動しました。次の試合に期待しています」

 この日、大谷のホームランを見ることはできなかった。だが、現地でも地元選手と並ぶほどの人気ぶりを見せつけた。世界を魅了する打者の挑戦は始まったばかりだ。(編集部・福井しほ)

AERA 2024年4月1日号

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