今あなたが100万円を持っていて、それを定期預金に預けたとします。年間の利率が5%だったとすれば、現在の100万円は1年後には105万円になっています。つまり、現在の100万円は1年後の105万円と同じ価値だというわけです。計算式で表せば、100×1.05=105です。

 では、1年後の100万円を現在の価値に直せばいくらでしょう。1年後の100万円の現在の価値をCとすれば計算式はC×1.05=100となります。このCを求めるにはC=100÷1.05となります。100を1.05で割り戻せばいいわけですね。100÷1.05≒95.2。つまり、1年後の100万円は現在の価値でいえば約95万2000円だということです。

 では、現在の100万円は2年後にはいくらになっているでしょう。現在の100万円は1年後に100×1.05になり、それがさらにその1年後に1.05倍になるのですから、計算式で表せば100×1・05×1.05≒110ですね。つまり、現在の100万円は2年後の110万円とほぼ同じ価値だということです。

 ということは、2年後の100万円を現在の価値に直すには1.05の2乗で割り戻しておけばよいということになります。つまり、2年後の100万円は現在の価値に直せば約90.7万円、つまり約90万7000円になるわけです。この現在の価値を計算するときの利率を割引率と言います。

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國貞克則

國貞克則

1961年岡山県生まれ。東北大学機械工学科卒業後、神戸製鋼所入社。海外プラント建設事業部、人事部、鉄鋼海外事業企画部、建設機械事業部などで業務に従事。1996年米国クレアモント大学ピーター・ドラッカー経営大学院でMBA取得。2001年ボナ・ヴィータ コーポレーションを設立。日経ビジネススクールなどで公開セミナーやeラーニングの講座を担当している。著書に『新版 財務3表一体理解法』『新版 財務3表図解分析法』(ともに朝日新書)、『渋沢栄一とドラッカー 未来創造の方法論』(KADOKAWA)、訳書に『財務マネジメントの基本と原則』(東洋経済新報社)などがある。

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