※写真はイメージです(Getty Images)
この記事の写真をすべて見る

企業の「売上」と「利益」は当然、重要なものだ。しかし、それ以上に大切なものがあるというのは、米国クレアモント大学ピーター・ドラッカー経営大学院でMBAを取得し、経営コンサルタントとして活躍する國貞克則氏だ。そして、そこにサラリーマンと経営者の視座の違いが表れるという。「投資」と「リターン」の考え方について、朝日新書『財務3表一体理解法 「管理会計」編』から一部を抜粋、再編集して解説する。

【図】「現在価値の計算」とは何か

*  *  *

「売上」と「利益」より大切なもの

 ビジネスを行う人にとって「売上」と「利益」は大切ですが、それよりもっと大切なのは「投資」と「リターン」という考え方です。企業における担当者と経営者の視座の違いの一つは、担当者がビジネスを「売上」と「利益」で見ているのに対して、経営者はビジネスを「投資」と「リターン」で見ていることでしょう。つまり、経営者はPLとBSを同時に見ているということです。

「売上」と「利益」というのは、事業全体のプロセスである【お金を集める】→【投資する】→【利益をあげる】 という活動のほんの一部でしかありません。もちろん、売上を増やす工夫や費用を減らす努力はとても大切です。しかし、ビジネスは「投資」と「リターン」で成否が決定するという面もあります。

 私はサラリーマン時代、鉄鋼会社で働いていました。日本の鉄鋼会社における生産性や品質をあげる工夫や努力は、世界の製造業の中でもトップレベルだと思います。しかし、鉄鋼事業の生産性や品質は、どのような設備レイアウトでどのような装置を導入しているかによって決定してしまう側面があります。

著者プロフィールを見る
國貞克則

國貞克則

1961年岡山県生まれ。東北大学機械工学科卒業後、神戸製鋼所入社。海外プラント建設事業部、人事部、鉄鋼海外事業企画部、建設機械事業部などで業務に従事。1996年米国クレアモント大学ピーター・ドラッカー経営大学院でMBA取得。2001年ボナ・ヴィータ コーポレーションを設立。日経ビジネススクールなどで公開セミナーやeラーニングの講座を担当している。著書に『新版 財務3表一体理解法』『新版 財務3表図解分析法』(ともに朝日新書)、『渋沢栄一とドラッカー 未来創造の方法論』(KADOKAWA)、訳書に『財務マネジメントの基本と原則』(東洋経済新報社)などがある。

國貞克則の記事一覧はこちら
暮らしとモノ班 for promotion
防犯・災害対策の準備はいかが?最大50%オフのAmazonの安全・セキュリティグッズ売れ筋ランキング
次のページ
「製品別原価計算」の方法論