「かねがね小池知事自身が出馬とうわさされていましたが、それはまずない。近く都民ファースト公認もしくは推薦で、発表することになる。自民党からは保守系無所属でという話がきている。要するに小池知事に自民党、岸田首相が乗るということです。まあ、東京15区での自民党のイメージは最悪ですから仕方ありません」

 とは都民ファーストの関係者。

 東京15区では、柿沢被告が3月14日に一審で執行猶予付きの有罪判決、2020年1月には自民党の衆院議員だった秋元司被告が収賄罪で起訴され、一審で実刑判決を受けており、3月22日に控訴審判決がある(20日に無所属での立候補を表明)。自民党の衆院議員が2人続けて逮捕・起訴という前代未聞の事態だ。

衆院東京15区補選への立候補を表明する秋元司元衆院議員=2024年3月20日、東京都江東区

小池知事にとっては最高の展開

「小池知事に乗っかって、自民党が保守系無所属を推して勝てるならそれにこしたことはない。小池知事自らがマイクを握り、支援が得られる都民ファーストと共同歩調をとり、負けないようにして政権維持を、というのが岸田首相の考え。小池知事は公明党とも良好な関係というのもプラスに働いている」

 と岸田派の国会議員が語る。

 小池知事は自民党を離れ、都知事になった後の2017年の衆院選で「希望の党」を立ち上げ、国政進出をもくろむも、民進党と合流するにあたり、リベラル派の議員を「排除します」と発言したことで失速。その後も「都民ファーストの会」を立ち上げ、チャレンジするも失敗に終わっている。そして、小池知事は今年7月に都知事選を控え、3選を目指すことが濃厚とも聞く。

「東京15区は都民ファーストで擁立すれば勝てるはず。小池氏は、自民党も乗りやすい格好にして恩を売る。都知事選では自民党もそう簡単に候補者を出せなくなる。実質的に小池知事の息がかかっている人を国会に送り込めて、かつ都知事選は絶対的に有利な構図がつくれる最高の展開だ」(前出・都民ファーストの関係者)

 また、岸田首相にとっては、広瀬めぐみ参院議員の不倫問題、自民党和歌山県連の「過激ダンスショー」の炎上、裏金事件の政治倫理審査会では何も明らかにならないなど、支持率が低下するような“ネタ”が相次ぐ。

次のページ
小池知事は突然、力を増す