4月28日に投開票が予定されている衆議院の補欠選挙。細田博之前衆院議長の死去に伴う島根1区、安倍派裏金事件で議員辞職した谷川弥一前衆院議員(略式命令が確定)の長崎3区、公職選挙法違反の罪で起訴され有罪判決を受けた柿沢未途前法務副大臣の辞職に伴う東京15区の3選挙区で行われる。3敗だけは避けたい岸田文雄首相が、何か秘策があるのだろうか。
【写真】22日の控訴審判決を控え、20日に立候補を表明した元衆院議員はこちら
「3敗となれば即座に辞任だ。大きな政局となるはず。3年前と同じ、いやそれ以上に厳しくなる」
そう話すのは、茂木派の国会議員だ。
2021年春の参院選の再選挙、衆参補欠選挙では、河井克行元法相と妻、案里元参院議員の大規模買収事件で批判が高まるなか自民党は3連敗(うち不戦敗1)した。菅義偉首相(当時)は一気に苦境となり、秋の自民党総裁選は不出馬に追い込まれた。それもあってか今回は当初、岸田文雄首相は3選挙区とも「候補者擁立」と執行部に伝えていたという。
野党系候補は一本化へ
しかし、東京15区と長崎3区は自民党議員の刑事事件がきっかけの選挙となり、
「3年前は自民党の不祥事で反省を、という意見のなかで菅氏が候補者擁立を主張して大失敗だった。今回こそ、反省の意を示すため不戦敗で」(自民党幹部)
という意見が多数を占めていたという。その背景には、保守王国の島根1区だけは勝てるとの目算があったからだ。
自民は元財務官僚の錦織功政氏の擁立を決めたが、細田氏の裏金問題や旧統一教会との関係、セクハラ疑惑などで逆風が吹く上に、共産党が立憲民主党が擁立する前衆院議員の亀井亜紀子氏を自主的に支援すると発表したことで、野党系候補は亀井氏に一本化。事実上の一騎打ちとなる見通しとなった。
「岸田首相は3敗だけは避けたい。そこで浮上したウルトラCのアイデアが、(東京15区での)小池百合子(東京都)知事との連携です」
と岸田派の国会議員は話す。
小池知事は、今年1月の八王子市長選では土壇場で自民党・公明党推薦候補の応援に入り、当選に大きく貢献した。その勢いに乗って小池氏が「創立者」の都民ファーストの会から、東京15区に候補者を立てるという。