――「浮かせる収納」ですか・・・?

 お風呂場の床にイスや洗面器を置いていると、水垢でどんどん汚れていきます。本にも書きましたが、水回りでは床にモノを置かずに浮かせておくようにすると、清潔感をキープできるんです。100円ショップでは、ボトル容器をタオル掛けなどに引っ掛けることができるボトルホルダーや、洗面器を壁にかけて置くことができるグッズが充実しています。マグネットが使えるなら、さらに便利ですよね。些細なことのようですが、実は大きいことなんです。

 ――昔のお風呂には、マグネットは付かなかったですよね。料理ではいかがですか?

 料理はね、大体まとめて作っちゃうんですよ。一人暮らしを4年半ほどしたんですけど、実は1人分の量をあまり作ったことがないです。残しておいて食べることが多く、例えばひじきの煮物をドーンと作って1週間副菜として食べ続けたり、汁物を3日分ぐらい作り温め直したりしていました。ただ、例えばシチューを温め直すと、鍋では湯気が出ていたのに食べてみるとまだ冷たいことがあり、私は料理家の方にいつも温め直しの技術を聞くんです。

 ――何かテクニックはありますか。

 先日、料理家のきじまりゅうたさんにお話を伺ったら、器に入れて「電子レンジでチンすれば良い」とおっしゃっていました。言われてみると、確かに今までも、温め直しがいまいちだった時は、電子レンジに入れていました。

 ――鍋で温めるのが正統派、な感じがありますが、電子レンジでいいんですね。家事は、面倒くさいことも多いですが、テクニックが身に付くと、早くできたり、美味しくできたりします。やればやるだけ、いいことが返ってきますよね。

 そうなんです。それは家事のいいところですよね。自分の中に、確実に残っていきます。

 ――さきほど、「時間」の話をしましたが、家事を阻むもののもう一つは、「動線」でしょうか。

 動線の話をすると本当に終わらないので止めて欲しいんですけれど(笑)、先ほども申し上げたように、最近、引っ越しをしたんです。それほど予算がないのに、都内で便利なところで広い家を探したので、むちゃくちゃ苦労しました。2年の間に61軒、内見したんです。トータルで1年半ぐらいかかってますね。人生の危機、そして夫婦の危機でした。

 内見に至らず、インターネットで検索しただけで終わった物件はその何十倍もあります。というのも、間取りだけでこの家は家事が大変すぎるというのがわかるようになってきたからです。昭和後半に建った一戸建てで多いのが、1階で洗濯をして2階のベランダに干すという間取り。1階で洗濯して、洗ったものを2階まで持って上がり、衣類の収納場所が1階にある場合は乾いたものを再び1階に下ろさなければなりません。これは、洗濯という家事の「しんどさ」を左右します。

次のページ
「びっくり水」はかまど時代のテクニック