トークイベントでは阿古真理さん(右)が、「何か一つだけやるなら、どの家事?」「食に興味がなくて、3食カップラーメンになってしまう」「父がひとり暮らしになるのが心配」など会場からの質問にも答えた (photo 永井 優希)

 くらし文化研究所を主宰し、作家・生活史研究家として執筆活動をしている阿古真理さんが、最新刊『お金、衣食住、防犯が全てわかる 今さら聞けない ひとり暮らしの超基本』の発売を記念して、ジュンク堂書店池袋本店でトークイベントに登壇した。題して「令和の家事は意識もテクもアップデート!」。

 お母さんが一人で何もかもやる時代はすでに終わっている。すべての人が、家のすみずみまでピカピカにして3食自炊する必要もない。自分にあった最低限必要な家事とそのノウハウを知れば、家事に振り回されることなく、ラクに楽しく毎日を整えることができる。この記事では、自身の経験も交えてその極意を語ったトークショーをレポートしたい。

 まずは、この本を書いたことで、阿古さんが実際に「アップデート」した家事のノウハウから。聞き手は前AERA編集長の片桐圭子が務めた。

 ――本書をご執筆いただく過程で、さまざまなジャンルの専門家に取材していただきましたが、「時短」のテクニックがあちこちに出てきました。現代は忙しく、「時間がない」ことが家事にとっての「敵」になっています。この「時間がない」に打ち勝つには、どうしたらいいでしょうか。

「ついでにできる家事」を意識することですね。汚れそうな場所に、マイクロファイバークロスなど、ちょっと拭けるものを置いておくんです。歯を磨きながら洗面所の窓を拭く、みたいなことを習慣づけていくと、わざわざ「よし掃除するぞ」と気合を入れなくても、そこそこ整った状態を維持しやすくなります。

 ただ、「時間がない!」と思うほど忙しいときは、私は休むことを優先していいと思います。ひとり暮らしならなおさら。そして、休んだ後に、気分転換を兼ねて好きな家事をやる、というのもありだと思いますよ。

 ――そう言っていただくと、心が軽くなります。家事にはそれこそ、100も200もやり方がありますが、一番意外だったノウハウは何ですか?

 最近のユニットバスは、壁にマグネットが付けられるということをご存じですか? 私は知らなかったので、引っ越したばかりの家でユニットバスの壁にマグネットを付けてみました。付きました! マグネットが付くということは、簡単に「浮かせる収納」ができるということなんです。

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身についた「家事」は自分の中に確実に残る