中国政府は、明らかに福島氏を山口氏の上に位置付ける対応をとったことがわかる。公明党を軽視するという明確なシグナルである。
筆者は、たまたま先月上海を訪れたのだが、そこで会った知日派の人たちは、福島氏の方が会談時間も長く、見る人が見れば山口氏よりもはるかに厚遇だったことがわかると話していた。また、公明党に対する信頼感は地に落ちたとも語った。
つまり、同党は、期待される中国との貴重なパイプという役割をもはや果たせないということを言っているのだ。
もちろん、その原因は、集団的自衛権を自民党と共に容認したことなど、平和主義を捨てた公明党の変節にある。また、福島の汚染水(処理はされても、なお汚染されていることにはかわりがないので汚染水と呼ぶべき)排出を容認したことも大きかったようだ。
結局、公明党には、「平和の党」としての役割も対中外交のパイプ役としての役割も果たせなくなっているということがわかる。
存在意義がなくなった政党の行く末は「消滅」でしかない。
現に、同党の変節に対しては、最大の支持母体である創価学会の会員からも批判が強く、選挙のたびに得票が落ちている。
2月9日配信の本コラムで紹介した調査では、自民党員の中での支持も、立憲民主党や日本維新の会の数分の1の0.8%しかない。連立の仲間からも見放されているわけだ。
ここまでの危機に直面しているのだから、いい加減眼を覚ます時ではないかと思うのだが、「与党病」に蝕まれた幹部たちに自浄作用は働かないようだ。
本当に「平和の党」だと言うなら、ひたすら戦争に向かい、軍事大国・武器輸出大国を目指す自民党との連立を解消し、堂々と平和主義の政策を国民に訴えたらどうか。
おそらく今が最後のチャンスだ。裏金問題で瀕死状態の自民党に三行半を突きつけ、野党として正論を訴えれば、再生の可能性は十分にある。同じ連立なら、立憲民主党と組む方がはるかに公明党の支持者の声に応えることになるのではないか。
「平和主義を捨てた仮面の党」をやめて、もう一度「平和の党」に戻れば、政権交代に結びつき、結果的に与党入りできるかもしれない。
是非とも前向きな「変節」を見せて欲しい。