新三原則では、条約その他の国際約束に違反する場合、国連安保理決議違反の場合、紛争当事国向けについては移転禁止としつつ、平和貢献・国際協力の積極的な推進に資する場合、我が国の安全保障に資する場合には移転を認めるとした。非常に曖昧な規定であり、これにより、武器輸出が認められるケースが格段に拡大する可能性が広がった。

 ただし、あまり急激に拡大すると国民の反発が大きくなるので、新三原則の「運用指針」において、いくつかの制約を設けた。もちろん、その裏には、必要になったらその都度制約を取り払えば良いという考えがあった。

 武器輸出大国への転換をさらに大きく進めることになったのが23年12月に行われた新三原則と運用指針の改正である。

 その最大の目玉が、部品しか認めていなかった米国のライセンス生産を行った装備品の米国への輸出を完成品にまで拡大することだった。これを受けて、政府は、地対空ミサイルシステム「パトリオット」と呼ばれるミサイル迎撃システムの対米輸出を決めた。殺傷能力のある武器の完成品輸出を認めるのはこれが初めてで、武器輸出大国化への大きな一歩となった。

 しかし、この時もあえて解禁しないで残した課題があった。それが現在問題となっている他国と共同開発した完成品の第三国への直接輸出だ(部品については23年12月の三原則と運用方針改正時に解禁済み)。

 実は23年に行われていた自公の協議では、イギリス・イタリアとの次期戦闘機共同開発を念頭に置いて、これを解禁する方向で事実上合意していたのだが、山口那津男公明党代表が慎重姿勢を示して、先送りとなった。

 これを見た創価学会員や国民は、いかにも公明党は平和の党だという印象を受けたであろう。しかし、それ以外の輸出解禁事項には反対せず、武器輸出大国化を容認したのだから、平和の党とは程遠い対応だった。その意味で、公明党のやり方は詐欺的だと言わざるを得ない。

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公明党は最初から輸出解禁を認めるつもりだった