中国の王滬寧全国政治協商会議主席(右)と握手を交わす社民党の福島瑞穂党首=2024年1月19日、北京の人民大会堂

 しかし、こうした姿勢を公明党が続けてきたことによって、自民党側は、独断で戦争の道を進んでいるのではなく、「平和の党」(公明党)の厳しいチェックを受けながら、日本の平和主義から逸脱しないように慎重に日本の安全保障政策を時代のニーズに合わせて調整しているというイメージを国民に示すことができた。公明党は、表面的には自民党の足枷になるように見えて、長い目で見れば、国民の警戒心を和らげ軍事大国化を円滑に進めるための重要な役割を果たしてきたのだ。

 こう見てくると、平和の党としての公明党の存在意義はもはやなくなったと言いたくなるところだが、同党にはまだ期待されている役割がある。

 同党は中国共産党との友好関係が深い。日中国交正常化する前の1968年に公明党創設者である池田大作会長(当時)が日中国交正常化を提唱したことから始まる交流の歴史は、中国側も非常に重視してきた。その証しとして、習近平国家主席は、これまでに山口代表と4回も会談している。与党の代表ではあるが、政府のトップでもない政治家と何回も会談するのは破格の扱いだ。

 これだけ日中の外交関係がギクシャクする中で、同党には本来なら中国とのパイプ役として大きな期待がかかるはずである。

 しかし、もはやその役割は果たせないことが暴露される事態が生じた。

 昨年11月、山口代表が訪中し、面会を切望したにもかかわらず習主席は相手にしてくれなかったのだ。ナンバー2の李強首相も相手にしてくれず、会えたのは共産党序列「5位」の蔡奇政治局常務委員、王毅共産党政治局員兼外相らだった。山口氏は岸田首相の親書まで携えて訪中したのに、この塩対応。屈辱的な結果ではないか。

 さらに公明党に追い打ちをかけたのが、今年1月の福島瑞穂社民党党首の訪中における中国の対応だ。野党でしかもいつ消滅するかと揶揄される弱小政党の党首に会ったのは、何と共産党序列「4位」の王滬寧政治局常務委員だった。王氏は、中国人民政治協商会議全国委員会の主席という要職にある。

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公明党は中国とのパイプ役を果たせない