早く考えて悩む時間を削るのが理想

 対して、頭のいい人は考えることを先延ばしにすることはありません。仕事が生まれたその瞬間から考えることをはじめ、なるべく早い段階で決着をつけようとするのです。

 もちろん、ときには自分でも納得していないものしか考えられないこともあるでしょう。しかし、そういったときも粘るのではなく、まわりの人にフィードバックをもらうなどして、無駄に悩む時間を極力削っていくのです。

「時間をかければいい考えや答えが見つけ出せる」と思うのは言い訳に近い考え方です。時間をかけることで、頑張っている自分を肯定することはできますが、ただそれだけです。それであれば、しっかりと今に向き合ってなるべく早く考えることに専念した方がいいでしょう。

 また、「考えること」は勉強や運動と違って、時間も場所も選びません。加えて道具もいらないわけですから、今やるかどうかは自分次第なのです。

 これは、私の経験談ですが、自分一人で部屋にこもって締切までネタを作り続けるのと、勢いでネタを作りきってしまって、そこからフィードバックをもらい、修正していくのでは、圧倒的に後者の方がクオリティが高くなります。

 また、スピード重視で考えているので、他の仕事が溜まる前に処理でき、常にひとつずつに集中することが可能です。考えることを後回しにしていたら、次から次へと仕事が溜まっていくでしょう。

 ちょっとしたことですが、油断すると人は考えることを先延ばしにしがちです。ぜひ頭の片隅に入れておいていただけると幸いです。

(本多正識:漫才作家・吉本興業NSC講師)