(撮影/谷川賢作)
(撮影/谷川賢作)
充実感にあふれた顔がいっぱい ミュージシャンでよかった 神様ありがとうございます (撮影/Hikari Takahashi)
充実感にあふれた顔がいっぱい ミュージシャンでよかった 神様ありがとうございます (撮影/Hikari Takahashi)

 今朝もビジネスホテルの一室で朦朧としながらつれづれなるままに書いています。どうしても山下洋輔さんの影響が……(^_^;)

 9/21(月) バタバタと旅支度をし、東北道を一路北へ。向かうは福島県の白河。「カフェバール茶房瑠」で名雪祥代(アルト&ソプラノサックス)トリオの初日だ。名雪さん(宮城、古川在住)とは、 調律師の只野正昭さん(私の仙台圏の調律をお願いしている寡黙な縁の下の力持ち。宮城、登米在住)の紹介で知り合い意気投合。ベーシストの佐藤弘基さん(岩手、水沢在住)とのトリオで昨年に引き続いての2回目の東北ツァーだ。

 30人ほどで満席になる小さなお店だが、開演前からすでに立ち見もでるほどで熱気ムンムン。が、今宵は“投げ銭ライブ”である。バンマスの名雪さんの前にさりげなく小さなざるが置かれている。開演前もちろん中はからっぽ。緊張を解きほぐそうと、すかさずざるを頭にかぶり「木枯し紋次郎~あっしには関係のないこって」とのたまい失笑を買う私(^_^;) バカをやるのも私の仕事なり!

 一年ぶりの再会セッションで硬い出だしかと思いきや、あにはからんや。バンマス名雪、一曲目の《When Lights Are Low》からとばすとばす。腕を振って投げるべし、の私の野球理論も浸透してきたなあと感慨にふける間などなく、負けじと佐藤&私のオッサン組もズバンボムビンガラチョンドピャラピとくんずほぐれつの三つ巴の音絵巻。この日のために私が書き下ろした新曲《Snow Leopard's Dream》思いもよらぬほどのなかなかの出来ばえ。ツァーがはじまる寸前で譜面とデモを二人に送ったのだが、猛練習をしてきてくれたおかげだ。礼! このトリオ定番の《サンバ A Night In Tunisia》で最後の大疾走をし無我夢中であっという間の終演。やんやの喝采を浴び、そして投げられる銭ならぬ、乱れ飛ぶ野口さん、たまに樋口さん、そしてなんと福沢さんも何人かざるの中に飛びこんでくださる! ああもったいなや、もったいなや。ミュージシャン冥利につきる瞬間。お客様、お店のマスター、スタッフすべての方に感謝あるのみ。

 9/23(水)山形の川西町のライブスペース「Jam」で名雪トリオの初レコーディングの日。オープン20年を迎えるこの約100名収容のめちゃ音のいいホール(どの席もS席!のオーナーの自負もうなずける)での前夜のライブも最高に盛り上がり、バンマス名雪なんと「レコーディングは朝9時から始めるよ」のサラッと一言。しょえーマジか~! 打ち上げはツァー最終日にとっておこうを合言葉にトリオは早々に爆睡モードへ。早朝からエンジニアの緒方晴英さん、ゲスト参加のドラムスの今村陽太郎さん、パーカッションの齋藤寛さんらが続々と仙台から到着。実は私は皆さん「はじめまして」の方々ばかりなのだが、そこはやはりミュージシャンのすばらしいところ。言葉の会話もそこそこにいざお互いの音をころがし始めると、あっという間にどんどん楽しくなり自然に笑顔が。さあ行くぞーと全員スタンばったところ、なんと突然の機材不調! しばし全員途方にくれるも束の間、自慢ではないがここ一番の「たにけんネットワーク@東北」。電話一本で山形から旧知のエンジニア、早坂実さんが代替機材を持って颯爽と登場してくださる。もうほんとにお礼のしようもないぜ~(東北の山に向かい叫ぶ私 ありがと~~~)

 ニコチン摂取組の小休憩をのぞき、21時までほぼノンストップのレコーディング。この東北人の集中力と粘りには恐れ入るぜ! 私にとってはこの日のハイライトは自作《Dream of konitz》。このばか速なメロユニゾン4ビート曲が、「魔の時間帯」の収録となり、誰かしらがなんかしらミスる。OKテークがなかなか録れないのだが、この曲を誰よりも愛するバンマス名雪の叱咤激励の元、ついに誰もが「臆病になってボール(音符)を置きにいかない」すんごいテークが出現! 乳酸の溜まりまくった腕をさすりつつ、余裕の笑顔をかますベーシスト佐藤。しびれるぜい。

 さあ。書くことは尽きぬが、そろそろ次の公演地に向けていざ出発! ♪リハしてライブして盛り上がって打ち上がって(《北風と太陽》作詞作曲・谷川賢作)が今日も脳内をかけめぐる。

 ところでこのCDは来年リリースです。皆さんぜひ聴いてください。 [次回10/19(月)更新予定]