2013年の第3回WBCの台湾戦で同点の適時打を放つ井端

 6日、侍ジャパンは京セラドーム大阪で行われる「カーネクスト 侍ジャパンシリーズ2024」で欧州代表と対戦する。2024年の初陣となる一戦で、井端弘和監督の采配に注目が集まる。そんな井端が侍Jの監督に就任することが決定的になった当時、幻となってしまった「中日・井端監督」への野球ファンの思いとは? 過去の記事を振り返る。(「AERA dot.」2023年9月30日配信の記事を再編集したものです。本文中の年齢等は配信当時)

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 侍ジャパンの新監督に、中日、巨人で活躍した井端弘和氏が就任することが決定的となっている。3月のWBCで栗山英樹前監督が世界一に導いたが、後任の監督選びで時間が掛かった。侍ジャパンを取材するスポーツ紙記者は、その内幕をこう語る。

「侍ジャパン強化委員会がピックアップした複数の有力候補に打診したが、受諾を得られなかった。侍ジャパンの監督を務めることは名誉なことですが、重圧も大きい。WBC連覇に期待がかかる中、世界一にならなければ評価が下がってしまいますからね。ただ、井端氏は決して消去法で選ばれたわけではありません。NPBで監督経験はありませんが、様々なポジションで侍ジャパンに携わり侍ジャパンの強み、短期決戦の戦い方を熟知している。現役時代から頭の回転が速く、先の先を読んでプレーしていたので指導者として大成する可能性が十分にある」

 中日で名遊撃手として活躍した井端氏は、13年の第3回WBCに出場している。準決勝・プエルトリコ戦で敗れて大会3連覇は叶わなかったが、2次ラウンド初戦・台湾戦を鮮明に覚えている野球ファンは多いだろう。1点差を追いかける9回2死二塁で井端氏が同点適時打を放ち、逆転勝利に大きく貢献した。現役引退後は稲葉篤紀監督の下で内野守備・走塁コーチに就任。18年限りで3年間務めていた巨人のコーチを退任すると、19年から侍ジャパンの強化本部編成戦略担当も兼務。21年東京五輪ではコーチで金メダル獲得に貢献した。現在は侍ジャパンU12の代表監督に就任し、7月下旬に台湾で開催されたW杯に出場。8月にはU-18の臨時コーチを務めた。

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