箱根で1年生から3年連続で区間新の偉業を成し遂げた佐藤悠基(2005~2008年度、東海大)は、マラソンへの適応に苦しんだ。卒業後に日清食品グループに入社して2011年、2013年の世界選手権に10000m、5000mの日本代表として出場し、実業団駅伝などでも活躍。その最中の2013年2月の東京マラソンで初マラソンに挑戦したが、未体験だった距離に突入した後、35キロ過ぎから大幅にペースダウン。完全に失速する形で2時間16分31秒の31位に終わった。その後もマラソン出走を続けるが、現時点では2018年東京マラソンの2時間08分58秒が自己ベスト。自己最高順位は同年のベルリンマラソンの6位となっている。
そして、大迫傑(2010~13年度、早稲田大)だ。箱根では1年生から2年連続で1区区間賞の走りを見せるなど活躍し、卒業後の2015年世界選手権、2016年リオデジャネイロ五輪に5000m、10000mで出場した後、2017年4月のボストンマラソンで自身初のフルマラソンに挑んだ。すると、海外の強豪選手も出走した中でも冷静なレース運びを見せ、33キロまで優勝争いに加わり、最終的に2時間10分28秒のタイムで3位フィニッシュ。伝統のボストンマラソンで日本人では1987年に優勝した瀬古利彦以来30年ぶりとなる表彰台に立った。その後、日本記録を2度更新(自己ベスト2時間05分29秒)し、2021年8月の東京五輪では感動を呼ぶ“6位ラストラン”。その後に現役復帰し、2023年10月のMGCを経て、マラソン日本代表として今夏のパリ五輪への出場も決まった。
服部勇馬(2012~15年度、東洋大)は、大迫と揃って東京五輪に出場した。箱根では3年連続で2区を走り、日本人選手としては渡辺康幸以来20年ぶりとなる2年連続の2区間賞を獲得した男だった。そして初マラソンは、大学卒業間近の2016年2月に行われた東京マラソン。注目を集めた中でスタートを切り、35キロ地点で一時は日本人トップに立ったが、40キロ付近で失速し、最終的には日本人4位、全体12位となる2時間11分46秒で悔いの残るゴールとなった。だが、その後もマラソン出走を続けて4度目の挑戦となった2018年12月の福岡国際マラソンで、自己ベストとなる2時間07分27秒で初優勝。そして2019年9月のMGCで2位となって東京五輪の切符を獲得した(東京五輪は73位)。