本来なら、近代社会になり、仕事を持つ女性が増えることで、日本でも「親や夫に依存しない人生」を選ぶ女性が増えるはずでした。しかし、日本経済の停滞と同時に広がったこの非正規雇用という“新しい雇用形態”が多くの若者の人生設計を狂わした、と述べたら言いすぎでしょうか。
欧米でも「職の二極化」が起こり収入格差が広がりましたが、欧米ではそれ以前からすでに女性の社会進出が当然のこととなっていました。しかし日本では、男女雇用機会均等法で正社員で働き続ける道が開けたのと同時期に非正規雇用化が進んだのは、皮肉としか言いようがありません。
男性の非正規雇用者は、「自分の所得では妻子を養うことはできない」と自信と希望を失い、女性の非正規雇用者は、「やはり夫は正社員でないと、将来において生活がままならない」実感を強め、より人生が豊かになる「結婚」でなければ、しない方がマシだと思うようになりました。結果として、「未婚」状態に置かれる若者が増大していったのです。