※写真はイメージです(Getty Images)
この記事の写真をすべて見る

 1986年に施行された男女雇用機会均等法により、「おひとりさま」と呼ばれる経済的にも精神的にも自立した優雅な「未婚」を選択できる女性は増えていったが、2000年以降は景気の落ち込みにより非正規雇用が広がり、結婚による経済的安定が得られないと考える若者が「未婚」を選択することが増えていった。「パラサイト・シングル」(実家に精神的経済的基盤を依存する独身者)という言葉の生みの親である社会学者・山田昌弘氏の新著『パラサイト難婚社会』(朝日新書)で、山田氏は「日本経済の停滞と同時に広がったこの非正規雇用という“新しい雇用形態”が多くの若者の人生設計を狂わした」と発言している。同著から一部を抜粋、再編集し、紹介する。

【表】未婚率は年々上昇している

*  *  *

「おひとりさま」として人生を謳歌するには、精神的自立と経済的自立が不可欠です。結婚をしなくても(あるいは離婚をしても)、ひとりの人間として生活でき、なおかつ自分の稼げる範囲で旅行をしたり、趣味を楽しんだりできる経済的自立がある女性、さらに「自分ひとりの時間」を楽しめる精神的自立が、「おひとりさま」の核を成すものです。逆に言えば、「ひとりでは寂しすぎる」「夫がいないと世間に顔向けできない」「独り立ちする仕事や収入がない」人は、「おひとりさま」状態を楽しむことはできません。

次のページ