アイコさんの働き方は、こんな具合だ。店に所属はするが、サービスの内容や金額は個人の裁量で決める。アイコさんが勤務した店は、客が場所代として店に1時間60ドル(約9千円〈1ドル=145円換算。以下同〉)を支払い、接客する女性にはサービス代として、客からチップが支払われる。そのチップが、アイコさんら店で働く女性の収入となる。店からは「なるべく頑張ってリピーターを作ってね」とは言われるものの、特にノルマなどを課せられるわけではない。

 客は現地の男性がほとんどだが、なかには飛び込みでやってくる観光客もいた。マッサージ店だと思ってやってくる客には、「こんなサービスもできます」と個別に交渉することになる。最初はほとんど英語が話せなかったアイコさんだが、客との交渉によって自分の収入が大きく変わる環境に身を置くと、めきめきと英語力を付けていった。

「人って必要に駆られると、やらざるを得ないというのは本当ですね。とにかく早く英語を話せるようになって、コミュニケーション力を上げたいと必死でした」

警察のガサ入れと隣り合わせ

 勤務時に稼いだ平均金額は、1日約千ドル(約14万5千円)。週4日勤務が平均だったというアイコさんは、一人につき平均200~500ドルを稼ぎ、月1万ドル(約145万円)前後、年間で12万ドル(約1740万円)が平均的な収入だった。

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違法営業を行う店で働く“綱渡り状態