皇居内の御所へ戻ると、ようやく誕生日の行事も終わりが見えてくる。お住まいの御所では、愛子さまも出席し、ご一家の私的な生活を支える侍従長や侍従職員らからのお祝いを受けた。
天皇、皇后両陛下が予定された日程を滞りなく終えたのは、とうに日も暮れた時刻。宮殿内を分刻みで移動しながらも、陛下も皇族方も、疲れを表情に出すことはないという。
「天皇家の方々や皇族方をおそばで拝見していた時代も、強い精神力を持っておられると感心しておりました」(元侍従)
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両陛下の日程をたどるだけでも目が回りそうだが、これでもコロナ禍前より、出席者の数も規模も縮小されているのだ。以前は行われていた茶会や飲食を伴う行事は、まだ再開されていない。
天皇陛下や皇后陛下の誕生日や新年行事の細かな日程が公表されるようになったのは平成の後半からだ。高齢でも膨大な量の公務を続ける当時の天皇陛下や皇族方の状況を少しでも知ってほしい。公務の軽減につながればという、当時の幹部らの判断であった。
前出の天皇家に仕えていた人物はこう話す。
「コロナ禍をきっかけに、行事や公務の削減や効率化がはかられたのは、よい流れでした。私自身はコロナ禍以降の規模の縮小により、昔のようにお会いできないのは残念です。しかし、両陛下のタイトな日程がすこしでも緩和されるのであれば、よいことだと思います」
目に見えない努力と気遣いが表にでることで、人びとと皇室との絆もより深まりそうだ。(AERA dot.編集部・永井貴子)