
3選手以外も実績のある選手たちが、今季中にFA権を取得する見込みとなっている。首位打者獲得経験がある佐野恵太(DeNA)、2020年に最多勝、最高勝率のタイトルを獲得した石川柊太(ソフトバンク)、先発、救援で起用法の幅が広い山岡泰輔(オリックス)、内外野守れてパンチ力もある牧原大成(ソフトバンク)、変則サイドの高梨雄平(巨人)。気になるのは阪神だ。大山以外にも21、22年と2年連続で最多勝に輝いた青柳晃洋、頭脳的なリードで投手陣を引っ張る坂本誠志郎、代打の切り札だけでなくムードメーカーとしてチームを支えている糸原健斗、原口文仁と主力選手たちが今季中に国内FA権を一斉に取得する予定。

この中で、坂本は現場の評価がとりわけ高い。他球団のコーチは絶賛する。
「坂本抜きに阪神の昨年のリーグ優勝、日本一はなかったでしょう。投手の持ち味を引き出し、打者の読みを外す配球術がずば抜けていい。フレーミング技術も高いし、もっと評価されるべき捕手だと思います」
岡田彰布監督が就任した昨季、梅野隆太郎を捕手の中心に据える方針を示していたが、坂本が縁の下の力持ちとして力を発揮する。大卒3年目だった村上頌樹が10勝6敗1ホールド、防御率1.75をマークし、新人王、最優秀防御率、MVPを獲得したが、先発した全21試合でバッテリーを組んだのが坂本だった。現役ドラフトでソフトバンクから移籍し、12勝2敗、防御率2.26と自己最高の成績を残した大竹耕太郎も全21試合登板で坂本とバッテリーを組んだ。シーズン中盤まで併用されていたが、梅野が左尺骨骨折で8月中旬に戦線離脱すると、坂本が先発マスクをかぶり続けて独走でリーグ優勝、38年ぶりの日本一に導いた。