24日の土曜プレミアム(フジテレビ、午後9時~)は『特別編集版「鬼滅の刃」遊郭決戦編』。「遊郭編」の特別編集版として、先週の「遊郭潜入編」に続き、「遊郭決戦編」が放送される。「遊郭編」の終盤には、人間時代の梅(のちの堕姫)と妓夫太郎を“救済”するとして上弦の弐(に)の鬼・童磨が登場する。この童磨とはいかなる鬼なのか。過去の記事で振り返る(この記事は「AERA dot.」に2021年1月3日に掲載された記事の再配信です)。
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【以下の記事には、『鬼滅の刃』コミックス既刊分のネタバレが含まれます】
2020年の年末に、映画興収がついに歴代最高を記録した「劇場版 鬼滅の刃 無限列車編」。映画では「上弦の参」と呼ばれる鬼・猗窩座の強さにも注目が集まった。鬼の中でも桁違いな強さをみせる「上弦の鬼」を、その特性ごとに分類していくと、上弦の弍・童磨だけが異質であることに気づく。童磨のエピソードには、鬼らしい残酷さ、うそに満ちた感情表現、他人への優しさの欠如など、マイナスの要素が多く盛り込まれている。「鬼にならざるを得なかった」同情的なエピソードは皆無なのだ。にもかかわらず、童磨はなぜ人気キャラクターなのだろうか?
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人気を集める「上弦の鬼」たち
「上弦の鬼」とは「鬼」の中で特別な強さを誇る6体の鬼の呼称である(※上弦の陸は、兄妹の鬼が一対として登場するため、正確には7体いたことになる。)。コミックスでは、途中で死亡した鬼の代わりに2体が新しく加わり、9体の鬼が「上弦」として登場する。「強さの順」に示すと、上位から、黒死牟(こくしぼう)、童磨(どうま)、猗窩座(あかざ)、半天狗(はんてんぐ)、玉壺(ぎょっこ)、堕姫・妓夫太郎(だき・ぎゅうたろう)である(のちに上弦の肆には鳴女<なきめ>が、上弦の陸には獪岳<かいがく>が入る)。
この中で、2020年10月26日発売の週刊少年ジャンプ47号で行われた、人気キャラクターランキングを確認すると、上弦の鬼では、14位・黒死牟、17位・猗窩座、18位・童磨、21位・獪岳がランクインしている。黒死牟と猗窩座は「鬼になった理由」のエピソードとして、悲しみに満ちた複雑な人生が描かれており、彼らが犯した罪は重いものの、たくさんの人たちが共感を示したのだろう。
しかし、童磨と獪岳は、人間であった頃のエピソードを含め、読者が同情できるような内容はあまりなく、むしろ「他人への優しさ・思いやり」に欠けた人物として描かれている。とくに童磨は、鬼になった理由も明記されておらず、彼が人生に何を求めていたのかもわかりにくい。にもかかわらず、なぜ童磨はこれほど読者の人気と注目を集めたのだろうか?