詐欺、サイバー犯罪の増加、「体感治安」悪化傾向
今年1月、「ルフィ」などと名乗って各地の強盗を指示したとして強盗致死罪などで起訴された特殊詐欺グループトップが特殊詐欺を指示した窃盗容疑で再逮捕された。ただ、強盗事件には限界があると京師さん。
「日本の警察は、強盗や殺人の検挙率は90%以上です。捕まって稼ぎにならないことがわかってきたので、また特殊詐欺に戻ってきています」
そして23年の特殊詐欺の認知件数は、直近15年で最多になった。少年の刑法犯も約4千人も増えている。
「一般の人でも、ネットを通じて犯行に手を染めやすくなっています。少年が深く考えないまま闇バイトに参加できるようになりました。とりあえず被害者を殴って、物を取るような稚拙な手口が多いです」(京師さん)
SNSでは、受け子、出し子を意味する「UD募集」、強盗の実行犯「たたき募集」という言葉があふれている。被害件数は都心が多いが、最近は地方も狙われだしたという。SNS上に、UD募集などの言葉とあわせて、都道府県名ものぼるようになった。例えば「UD募集 岡山」という具合だ。
「例えば、私の出身地の大阪なら『オレオレ』と言われても『誰やねん』で一蹴できたのですが、地元の方言を話す人が『区役所の者です』と電話してきたら、信憑性が増してしまうんです」(同)
さらに、昨今の物価高も影響しているという。
「昔から不景気のときは犯罪が増える傾向にあります。日々の生活のために罪を犯す人が増えます」(同)
リーマンショックの翌09年(前半)は、強盗は約2400件で前年比17.5%増と報じられていた。
人々の「気持ち」はどうなっているのだろう。警察庁は、市民が治安をどう感じているのか「体感治安」を調べるアンケートを取っている。昨年10月に5千人にアンケートを実施したところ、ここ10年間の日本の治安について、「悪くなったと思う」「どちらかといえば悪くなったと思う」と答えた人は、合わせて71.9%と、前年比で4.8ポイントも増えた。
悪くなった要因として想起する犯罪は、振り込め詐欺などの詐欺、無差別殺傷事件、サイバー犯罪、児童虐待が挙がった。
「ルフィなどの事件が大きくニュースで取りざたされて、日本国内の治安の印象は悪くなったと思う人の方が増えているのでしょう」(同)