17日の土曜プレミアム(フジテレビ、午後9時~)は『特別編集版「鬼滅の刃」遊郭潜入編』。「遊郭編」の特別編集版として、「遊郭潜入編」「遊郭決戦編」が2週連続で放送される。鬼という強大な敵との闘いが数多く描かれる「鬼滅の刃」だが、その登場人物の言葉から伝わってくるのは「生」へのメッセージだ。過去の記事で振り返る(この記事は「AERA dot.」に2021年12月27日に掲載された記事の再配信です。肩書、年齢等は当時のもの)。
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【※ネタバレ注意】以下の内容には、今後放映予定のアニメ、既刊のコミックスのネタバレが含まれます。
『鬼滅の刃』は、か弱い人間が生身のまま「鬼」という強大な敵と戦うことから、戦闘による死者・負傷者の数が極めて多い。そして、鬼の討伐にあたる剣士たちの年齢が比較的低いことから、「若者の生命を軽んじているのでないか」という批判にさらされたことがあった。しかし、アニメ2期「遊郭編」が内包するテーマは「生きる」ということではないか。遊郭編4話では、キャラクターのセリフから、「生」のメッセージを感じ取ることができる。ここでは『鬼滅の刃』における「生」と「死」のありようについて考えてみる。<本連載が一冊にまとめられた「鬼滅夜話」が発売されました>
「鬼殺隊の一員である」ということ
『鬼滅の刃』には多くの剣士が登場するが、その中でも突出した強さを誇るのは、鬼殺隊を支える9人の「柱」たちだ。
しかし、「遊郭編」の前シリーズ「無限列車編」では初の柱の死者を出してしまう。炎柱・煉獄杏寿郎(れんごく・きょうじゅろう)は、鬼の襲撃から200人もの乗客を守りきり、命を落とした。戦闘の最中、煉獄が発した“あの言葉”は多くの人の心に刺さっただろう。
<老いることも 死ぬことも 人間という儚い生き物の美しさだ 老いるからこそ 死ぬからこそ 堪らなく愛おしく 尊いのだ>(煉獄杏寿郎/8巻・第63話「猗窩座」)
「ここにいる者は誰も死なせない!!」、その言葉を貫き通した煉獄は、守るべき人たちの代わりに命を落とした。「煉獄さん 煉獄さん!!」と泣き叫ぶ炭治郎の言葉に、何人の人が心を寄せ、その死を悼んだだろうか。
「無限列車編」では、人間の生命が永遠ではないこと、終わりがある人生をどのように生きるのか、というテーマが示されていた。
若者の命が失われる『鬼滅の刃』
黎明に散る―煉獄杏寿郎の生きざまは美しかった。他者の命を守るため、その身をささげることに、読者や視聴者は感動を覚えた。