天皇陛下は2月23日、64歳の誕生日を迎えられた。元日に起きた能登半島地震で取りやめになった一般参賀も予定され、新型コロナ対策の抽選もなく、広く国民から祝賀を受けるという。天皇陛下とご一家の「あのとき」を振り返る(この記事は「AERA dot.」に2023年6月11日に掲載された記事の再配信です。肩書や年齢等は当時のもの)。
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6月9日、天皇、皇后両陛下はご成婚から30年を迎えられた。この日に先がけ、5月30日に両陛下と愛子さまは、天皇陛下の即位5年と両陛下のご成婚30年を記念した特別展を訪問されている。
展覧会を案内した担当者が「プロポーズの言葉も覚えています」と天皇、皇后両陛下に話しかけられると、愛子さまは「再現!」と天皇陛下にリクエストされたそうだ。なんともユーモアあふれる微笑ましい家族の会話だが、愛子さまがお生まれになったときから皇室番組に携わる放送作家のつげのり子さんが、これまでの天皇ご一家の仲睦まじいエピソードを振り返る。
30年前の両親のプロポーズの再現をリクエストした愛子さまだが、交流の場にまだ慣れていなかったとき、天皇陛下が場を和ませたことがあるという。那須御用邸(栃木県)に向かうときのひと言だ。
「コロナ前は毎年夏に那須御用邸にご静養に行かれていましたが、那須塩原駅に天皇ご一家が到着されるのを出迎えにいらっしゃる地元の方たちと会話をされるのが恒例でした。しかし、2019年当時、愛子さまは高校3年生でまだ国民の皆さんと交流することには慣れていらっしゃらなかったんです」
そんな緊張された愛子さまを一瞬で和ませたのは天皇陛下だった。
「夏の暑い日だったので、汗をぬぐうために陛下はハンカチを取り出されました。額の汗をおさえながら『ハンカチ王子』とおっしゃったんです。陛下のお隣にいらした雅子さまと愛子さまは思わず吹き出してしまい、ご一家が一瞬にして笑顔に包まれたそうです。とても微笑ましい場面なんですが、残念ながらカメラではそのシーンを拾っていないため、映像で残っていないんです。『ハンカチ王子』というひと言で、暑い中出迎えてくださった国民の皆さんと緊張していた愛子さまとの垣根をスーッと取り払われた感じがしました。愛子さまも自然に地元の方たちと触れ合われることができたのではないでしょうか」
ハンカチを取り出すときの機転を利かせたひと言は、周囲を笑顔にした。