米国のハーバード大学公衆衛生大学院社会行動科学部で日本人女性初の博士号を取得した林英恵さんは、2020年にコンサルティング会社「Down to Earth(ダウン・トゥー・アース)」を起業。ここ数年で自身の祖父母4人の介護・看取りを経験し、パブリックヘルス(公衆衛生)の観点から介護者の負担の少ないメソッドを開発したいと、昨年12月には新会社も設立した。
週刊朝日ムック『さいごまで自宅で診てくれるいいお医者さん 在宅医療ガイド』の編集チームが、林さんにインタビューした。
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――林さんの略歴を教えてください。
マッキャンヘルスという外資系広告会社に2020年まで14年間勤めていました。配属はヘルスケアで、ロンドン、東京、本社のあるニューヨークで勤務しました。パブリックヘルスに興味があったので、ニューヨークで働きながらハーバード大学公衆衛生大学院で博士号まで取得しました。
「パブリックヘルス」は、日本語では「公衆衛生」と訳されるので感染症などを対象とした学問と思われがちですが、それだけではなく、「パブリック=みんなの」「ヘルス=健康」を考える学問です。医療が個人の病気に対処するのに対し、パブリックヘルスは社会全体の健康を考えるもので、感染症対策から健康になるための生活習慣、健康増進、ウェルビーイングまで幅広いです。