そんな背景がある小渕氏を、岸田首相はなぜ調査する側に入れたのか。

「選対委員長ですから、本来は裏金調査には関係がない。ただ政調会長、幹事長代理なども入っているので、党4役の選対委員長も一緒でないとメンツが立たないだろうと配慮したんでしょう」と官邸関係者が打ち明ける。

岸田首相がうまく利用した

 だが、茂木派幹部の見立てはこうだ。

「『次』を狙う茂木(敏充)幹事長への牽制(けんせい)だったと思います。調査のメンバーには茂木派から退会を表明した福岡資麿参院議員もいます。茂木幹事長からすれば、調査がうまくいけば小渕氏の功績、失敗すれば幹事長の責任が問われる。それを岸田首相がうまく利用した。小渕氏がこんな調査に不向きなのは誰の目にも明らかですから。わざわざやらせる必要がないのですが」

 小渕氏の調査について、SNSやテレビでも発言している前兵庫県明石市長の泉房穂氏は、

「小渕氏は自分も同様の裏金事件を起こしていて、時間が経ったから今度は調査します、追及します、というのはおかしい。国民目線で言えば、小渕氏ご自身の事件ですら、今もって説明がされていません。自民党は身内ではなく、外部から有識者を起用して第三者委員会で徹底追及すべきです」

 と厳しく指摘している。

(AERA dot.編集部・今西憲之)

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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