自民党の一連の裏金作りをめぐる調査の結果が公表された。党所属の国会議員全員を対象としたアンケートと、衆院議員の池田佳隆被告ら3人の議員が立件された安倍派、収支報告書への巨額の不記載があった二階派や岸田派の議員らに対する党幹部による聞き取りだ。岸田文雄首相は調査前、「実態把握に努める」と気を吐いていたが、明らかになったのは、政治資金収支報告書に不記載のあった国会議員らの氏名と金額のみで、組織的な裏金づくりの実態はわからない。そして、聞き取り調査の報告書でも、裏金の使い道についての詳細は明らかになっていない。聞き取りを受けた議員からは、そもそも人選から問題があった、との指摘がある。調査の様子を振り返った。
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まずアンケート。
A4用紙1枚で、質問は2018~22年の各派閥の政治資金パーティーについて、収入の記載漏れの有無と、記載漏れがあった際の金額の記入のたった2問だけ。不記載の経緯や何に使ったのかは尋ねておらず、裏金作りの解明にはほど遠い内容になっている。これには党内からも「ポーズに過ぎない」「やっているように見せているだけ」などの声も上がっていた。
「なぜあんたに言われなきゃならない」
一方の政治資金収支報告書を訂正した議員への聞き取り調査も、首をかしげざるをえない対応だった。
聞き取りは、森山裕総務会長、渡海紀三朗政調会長ら党幹部6人と弁護士が同席していたのだが、このメンバーの中に小渕優子選対委員長がいたことに、聞き取りを終えた安倍派の国会議員は、
「地元に帰りたかったが、週末返上でヒアリングに行きました。都内のホテルの一室で、小渕さんも座っていて『これから調査をしますから』と言ってくるんです。『なんであんたに言われなきゃいけないんだ。調査されるべきはあんただろ』と心の中ではムッとしました」
と話した。
小渕氏をめぐっては、2014年10月に自身が関係する政治団体が開いた観劇会をめぐって、政治資金収支報告書に虚偽の記載をしていたことが発覚。小渕氏の事務所は証拠隠滅を図ろうと、帳簿データがなどが入ったパソコンのハードディスクをドリルで破壊したのがわかり、特捜部は政治資金規正法違反容疑で小渕氏の秘書らを逮捕した。ハードディスクは復元できなかったことが判明している。