AERA 2024年2月12日号

「子どもが自分で考えられるよう手助けするのが大人の役割です。ケガをしそうなときや、命に危険があるときは家庭で真剣に叱る必要があります。でもそうでない場合、叱って言うことを聞かせると、自分の行動を振り返ることなく『叱られるのが怖いから言うことを聞く子』になります。これでは子どもが自分で考える機会を奪うことになり、親の顔色をうかがう子どもに育つ恐れがあります」

 横山教授によると、立ち止まらせ、まずは子どものやりたかった気持ちに共感することが肝要だという。

「『水、気持ちよかったんだね』などと子どもの思いを受容してください。『やめなさい』は子どもにとっては強制終了を意味します。子どもは自分のやっていることをやめるのに相当のストレスを感じます。飛び立とうとしている飛行機を止める逆噴射くらいの力がかかります。これでは不満しか残りません」

 例えば棒を振り回していたとき、「危ないからやめようね」とだけ伝えるのではなく、「転んで目に刺さると血が出て目が見えなくなるかもしれない」などと、具体的なイメージを伝えるのもポイントだ。次に自分で考えさせる言葉を投げかける。「どうしたらいいかな?」と問い「ひもなら大丈夫かも」と子どもが決めたら褒めてあげる。

「目と目を合わせると心を通わせるための道ができます。体ごとこちらに向き合わせ、両手をつなぎ、目を見て話すことで親が真剣に話していると分かります。また、褒める際に『すごい!』『天才』といった言葉より、お母さん、お父さんがうれしいという伝え方をしてください。子どもは親に喜んでもらうことで自分の存在が確かになり自己肯定感が高まります」(横山教授)

(ライター・大楽眞衣子、フリーランス記者・宮本さおり)

AERA 2024年2月12日号より抜粋

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