すき間時間も見逃さず勉強を続けた。びっしりと文字が書かれた当時のノート。学校の課題で提出した製図は、「練習不足」と赤字が入って戻ってきたことも。受験票とともに。 撮影/戸嶋日菜乃(写真映像部)
すき間時間も見逃さず勉強を続けた。びっしりと文字が書かれた当時のノート。学校の課題で提出した製図は、「練習不足」と赤字が入って戻ってきたことも。受験票とともに。 撮影/戸嶋日菜乃(写真映像部)

 洗濯は1週間に1度か2度のまとめ洗い。仕事に行く際のコーディネートを考える時間も惜しいので、カジュアルなパーカとジャージーパンツを「これ、私の仕事着です」とまわりに公言して、制服のように毎日そのコーディネートで出かけていました。スティーブ・ジョブズ方式です(笑)。

アプリを大活用。1分あれば1問解ける!

 今どき、だいたいの資格試験には、勉強用のアプリがありますよね。私も大いに活用しました。もう、それこそトイレでも問題を解いていました。1分あれば1問解けるのですから。楽屋で、待ち時間のスタジオのすみで、移動中の車の中で。どんなに少しの時間でも、隙間時間はすべて勉強にあてました。実は私、車に弱いのですが、ロケで地方に出かけたとき、ロケバスの中で車酔いと闘いながら勉強したこともありました。あめやガムでごまかしながら勉強して……。

 そんなふうに勉強しながら「なにやってるんだろう、私」と思ったことは、100回どころではないと思います。「なんで始めちゃったんだろう」と。でも、もうあとには引けないところまできていたのです。

この生活を3、4年も続けるのはムリ。じゃあ、1年半で決めよう!

 日々、まさに「自分との闘い」でした。昨年の9月がいちばんきつかったかもしれません。舞台もあり、仕事もかなり忙しくさせていただいていました。そんな時期に、学校に提出した製図が戻ってきて、先生の赤字で「練習不足」と書かれていたのを見たときは泣きました。

 でも、もう「意地」なのです。では、見方を変えて「この生活を3、4年続けられる?」と自分で自分に聞いてみると、もちろん答えは「絶対ムリ」なわけです。「じゃあ、1年半で決めようか」と。こんなふうに期限を設けることで、自分を追い立てました。

 とはいえ、何度もあきらめかけました。それでも続けられたのは、母の存在も大きかったです。あきらめそうなときは母に電話をしていたのですが、毎回名言を残すんです。

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田中さんを支えた、母の名言とは?