林:なんで入ったんですか。
段田:文学座に行きたいと思って京都から上京したんですが、文学座は入れてくれなくて青年座の養成所に行ったんです。そこも劇団には残れなくて、唯一募集してた「遊眠社」が入れてくれたんです。東大に部室があって、学生演劇みたいな感じで、「しくじった」と思いました(笑)。でも、野田秀樹さんが拾ってくれたおかげでここまでこれたので、感謝しています。
林:最初は正統派のお芝居を目指してたんですか。
段田:そうですね。労演という演劇鑑賞団体があって、月に1回京都会館に文学座、俳優座、民藝とかが来るんです。それを高校生ぐらいから見に行ってましたね。
林:私も山梨で見てました。樫山文枝さんとかがいらして。
段田:いわゆる新劇ですけど、新劇俳優になりたいなと思って、労演の事務所でバイトしたりしてたんです。バイトしてると役者さんにお会いすることもあって、(低い声で)「労演の方ですか?」とか聞かれて、カッコいいなあ、こんな声の人になりたいなあ、と思ったのが役者の道を志したスタートでしたね。
林:学生演劇が全盛のころですね。
段田:そうですね。僕らのときは「紅テント」や「黒テント」も京都に来たりして、若い人の間ではアングラも流行ってました。アングラってなぜか脱ぐんですよ。女優さんがいきなり行水しておっぱいが見えたりするんですけど、僕はこれはこれでおもしろいなと思って見てるだけで、そっち方面には行かなかったですね。
林:そして紆余曲折を経て、今は落ち着くべきところに落ち着いたということですね。
段田:「遊眠社」が解散してからほかのいろんな舞台に出たりして、今ちょうど自分がやりたいことをやってるのかなと、3年ぐらい前までは思ってましたね。
林:今は?
段田:最近ちょっと自信がなくなってきましてね。「いいのかな、やってて」みたいな。べつにコロナで仕事がないからじゃないんですけど、「俺はどうなんだろう」ってちょっと客観的に見るようになりましたね。
林:私から見れば、ノリにノッてるという感じがします。お仕事以外の趣味って何なんですか。