「全日はすごいよ、変わったよ」ってファンの間で評価されて、すぐに結果につながった。ファンも以前は「馬場だ! ジャンボだ!」と言っていたのが、段々「天龍だ! 阿修羅だ! 龍原砲だ!」と、馬場さん、ジャンボより先に名前が呼ばれるようになってね。
東スポを読む美輪明宏さんが!
地方大会の帰りの新幹線に乗ったら、美輪明宏さんが東スポを読んでいて、俺たちを見つけて「え、天龍たち乗ってんの!?」って二度見されたことがあって、そのときも知られているってことが嬉しかったよ。このチャレンジはほんの2年と数カ月だったけど、今でもやり切ったと思っている。
相撲もプロレスも、体が小さいのにその世界に入るのも、ずいぶんなチャレンジだよね。小さな体で痛い思いをしても、莫大な金が入るわけじゃないのにと思うことがたびたびあったよ。
将来的に見込みがあればいいけど、相撲もプロレスも戦いだから、体がデカいほうが有利だ。相撲時代に入ってきた小さいやつに「お前、向いてないから辞めたほうがいいよ」と言って、3カ月で辞めて故郷に帰ったやつもいるよ。
どんなに頑張っても三段目がいいところだろうし、下にいる間は苦労させられるだけだからね。散々苦労して上に上がれず、おいしい思いもできないんだから。苦労なんてしないにこしたことはないぞ。これはちゃんと書いておいてくれ(笑)。
俺自身を振り返ると、失敗だったチャレンジはないと思っている。どんな結果になってもそれを自分の中に取り入れることができたら、間違いじゃなかったってことになる。