先週に続いて、あまり知られていない原発の「不都合な真実」をもう一つ紹介しよう。
【写真】これでも大丈夫? 原発近くの道路にできた大きな亀裂はコチラ
それは、原発周辺住民などのために作られている原発災害避難計画は原子力規制委員会の「審査」を受けていないということだ。
普通の人は、国が再稼働を認めるからには、ちゃんとした避難計画があり、その計画は、政府が言うところの「世界最高水準の」基準に従って規制委が審査していると思うだろう。だが、実際には全く違う。規制委は、避難計画にはノータッチなのである。
したがって、ほぼ全ての計画が全くいい加減な「なんちゃって避難計画」になっている。信じられないかもしれないが、それが真実だ。
今回の能登半島地震では、地震と津波、火災による家屋の被害とともに、広範囲に及ぶ道路が、土砂崩れ、亀裂、陥没、隆起などで寸断された。津波で港が被害を受け、海岸が隆起した地域もあった。
そのため、人や物の移動が陸路でも海路でも困難になったり、長時間孤立したりする地域も出た。
先週のコラムでも書いたとおり、北陸電力志賀原発では大事故は起きなかったが、想定を超えた揺れが確認されたり、そのほかにもいくつかの重大なトラブルが起きたりして、また、敷地内の道路などで亀裂や段差が生じたという報告もなされた。
原発事故につながるような大きな地震があれば、こうした事態になることは誰でも予想できる。
当然のことながら、それに対応するための対策がとられているはずだ。
では、具体的には、どのような対策があるのだろうか。
原発災害の際の避難計画は、各自治体が策定することになっている。そこで、志賀原発が立地している「志賀町原子力災害避難計画」をネットで検索してみた。平成29(2017)年11月付の資料だ。
読んでみて呆れたのだが、避難手段を記載した箇所の冒頭に、
「避難にあたっては、災害の状況に応じ、自家用車をはじめ、自衛隊車両や国、県、町の保有する車両、民間車両、海上交通手段などあらゆる手段を活用する」
と書いてある。要するに、主たる移動手段は「自動車」としているのだ。ご丁寧に自家用車で避難できない人はバスで運ぶとまで書いてある。避難ルートは国道・県道などとし、警察・消防が避難誘導を行うそうだ。