右骨盤に痛みを抱え、得点は伸びなかった。それでも、その日、できる限りの力と気持ちを観客へ届けた。
「数日経つと『もっとこういう演技で終わりたかったな』という思いもありましたが、心を込めて演技できたので、思い残したことはないかなと思いました。先生方や友達、家族からも、『他にも完ぺきな演技や点数の良い演技はたくさんあったけれど、本当に感動する良い演技だったよ』と伝えていただいて、すごくうれしかったです」
また、本田の一番の憧れの人、浅田真央からもメッセージがあったという。
「いつも私がつらいなとか思っているときに、何かを察して、こちらから連絡しない時でも、私の心に響く本当にすてきな言葉をかけてくださるのが浅田真央さん。全日本が終わったときにもメッセージをくださって。『最後まで、小さいときから逃げずにここまで頑張ってこれたのは、すごい偉いことなんだよ』という言葉をかけていただきました」
スケートを滑り続けたい
会見では、妹2人と同様に芸能活動の方向に進むのかと聞かれると、自らの道を語った。
「私はまずフィギュアスケートが本当に大好きで、妹たちもそうだと思うんですけど、滑り続けられる限り、皆さんが観たいなと思ってくださっている限り、今後もスケートを滑り続けていきたいです。他にも好きなことはたくさんあるんですが、何だかんだで、スケートを滑っている時の自分が一番輝けているなと感じていて(笑)。本当にスケートが大好きなまま競技を終えることができて幸せです」
会見の最後、両手を胸に当てて会場を振り返る。21年間の競技生活と出会いと支えへ、ありがとうの心を込めて、一礼した。
(ライター・野口美恵)
※AERAオンライン限定記事