かつて常勝チームを作り上げた野村克也氏(元ヤクルト監督など)や森祗晶氏(元西武監督など)のように、捕手出身監督は「守備から入る野球」を重視して結果に繋げたケースが目立つ。阿部監督も先輩の名将たちと同じアプローチでチーム強化を図っているように見える。

 確実に勝てるチームを作るため、現段階で巨人は守備を重視しているようだが、一方で阿部監督は本来“攻撃的”なスタイルを好むという意見もある。シーズン中に自らの色を出していくとも考えられるという。

「現状のチーム編成は投手力を中心とした野球をするように見える。しかし阿部監督は現役時代、打撃を生かすためにファーストを守ったこともあるように守備の人というより打撃の人だった。シーズン中の流れで自らの野球スタイルを確立していく可能性もある」(在京球団編成担当者)

「阿部監督は根っからの目立ちたがり屋。現役引退後4年の下積みを経ての監督就任が嬉しくてたまらないように見える。今後は結果を残すために、自らの思いを抑えることも指揮官として重要かもしれない」(巨人担当記者)

 原前監督は先日、客員教授を務める国際武道大で講義を行った際に「やっぱり立場というもので人は成長することもありますから、そういう風になって欲しいなと思いますね」というメッセージを送っている。新人監督だけに、これからチームを指揮していく中で自分のスタイルを確立していくのが理想だろう。

 仮に攻撃的な野球を標ぼうしたとしても、こちらも投手と同じく人材はそろってきている。日本の主砲と言える岡本和真に、打てる捕手の大城卓三、35歳となった“チームの顔”坂本勇人も三塁専任となったことでさらに打撃の成績が上がるかもしれない。加えて遊撃手の定位置を確保した門脇誠や、将来の4番候補の秋広優人などにはさらなる成長が期待できる。その他にも、内野手では中山礼都、外野手では浅野翔吾、萩尾匡也など“ブレイク”を期待できる若手は少なくない。

 フリーエージェント(FA)などの“派手な補強”はなかったが、適材適所の選手を迎え入れ、投打ともに伸びしろのある若手も多い。阿部監督の采配がハマれば勢いそのままいきなりの優勝も夢ではないだろう。

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いきなりの優勝を求めるのは酷?