もう一つ重要な太陽の恩恵は、太陽光を浴びることでビタミンDを作れることです。ビタミンDは骨を強くするだけでなく、免疫力の調整、認知症予防、動脈硬化予防、糖尿病予防など、多方面に力を発揮するスーパービタミンで、ほとんどの日本人に不足しています。

 紫外線を必要以上にカットしすぎることもビタミンD不足の一因ですので、一定程度は日光を浴びるようにしましょう。適度な日光浴であれば皮膚がんの心配はありません。

 年齢、体型、肝臓の機能などによって、同じ時間紫外線を浴びてもビタミンDの血中濃度は違ってきますが、一般的には夏の期間であれば、半袖半ズボンで昼間の太陽を20~30分ほど、週3回浴びることで、十分なビタミンDを補充することができるとされています。秋から冬にかけては日照時間が減り、当然、体内で作られるビタミンDの量も減ってきます。意識してサプリメントなどで補う量を増やすほうがよいでしょう。また、高齢者の場合、同じ時間、紫外線を浴びても若年層と同量のビタミンDを作ることはできませんので、意識的に食事やサプリメントから補充する必要があります。

 太陽光を浴びることの健康に対する影響は計り知れないものがあります。昔から日本では「朝日を浴びることは健康の礎」「日の出を拝めば寿命がのびる」などと言われてきましたが、米国でアンチエイジング医学を学んだ恩師のクリニックにも、英語で同じような標語のようなものが掲げられていました。生命活動の基本は、どこの国も同じなのです。

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