演劇やドラマで旋風を起こしてきた脚本家と、中村屋に生まれ、父の遺志を受け継いだ歌舞伎俳優は、とても気が合う。ほんとうの“歌舞伎味”とは何か──。AERA2024年1月15日号より。
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──近年は「限られた映像作品にしか出ていない」という中村七之助。しかし、大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」をはじめ、宮藤官九郎が手がける作品には出演し続けている。なぜなのだろうか。
七之助:今は縁がある方からの映像作品は受けています。「いだてん」は宮藤さんと兄(中村勘九郎)の作品ですし、「どうする家康」は友人の(松本)潤が主演だから出演しました。宮藤さんの作品に多く出させていただいているのは「作品自体が面白い」という理由も大きいです。先日「タイガー&ドラゴン」を配信で全部見直しました。「池袋ウエストゲートパーク」も見直しましたが、みんな若いですね。
宮藤:若くてもう気持ち悪いぐらいです(笑)。いま、七之助さんみたいな人は他にいないですから、出てほしいと思っている方は大勢いるでしょう。現世にいない。持っているものが全然違う。
「唐茄子屋 不思議国之若旦那」(2022年)でもご一緒させてもらいましたが、歌舞伎をやる度に思うのは「もうちょっと歌舞伎を勉強しとけばよかった」ということ。歌舞伎は演出家が存在せずに作品ができていくので、稽古ではほぼでき上がったものを見せられます。それに対して僕の準備ができていないので「もうそれで!」って言っちゃう(笑)。スピードに付いていけていないんです。次は「そっちではなくこっちでやってみてください」というお願いができるぐらい準備して臨みたいですね。