流体の正体は「水」。その流体が上昇し断層の隙間に入り、滑りやすくなったことで地震が発生すると指摘した。ただ、気象庁は、今回の地震に流体が関係したかは「不明」とした。
なぜ、ここまで大きな地震が起きたのか。
家屋は倒壊し、道路は地割れでめくれ上がり、大規模な土砂崩れがあり、火災も起きた。石川県内で81人が亡くなり、安否不明者が79人いる(1月4日午後2時時点)。今回のM7.6は、能登地方で記録が残る1885年以降で最大。しかも、いずれもM7.3だった阪神・淡路大震災(1995年)や熊本地震(2016年)より、約3倍のエネルギーになる。
プレートの正面衝突か
地震問題に詳しい立命館大学の高橋学特任教授(災害リスクマネジメント)は、地震による被害が広範囲になっていることから「プレート(岩板)同士が正面衝突し起きた可能性がある」と指摘し、次のように語る。
「能登半島は、東日本がのっている北米プレートと西日本がのっているユーラシアプレートの境界付近に位置しています。北米プレートは日本列島の東側にある太平洋プレートの上にのっていて、太平洋プレートは年に10センチほどの速さで東から西に動き、北米プレートを動かしています。その結果、北米プレートとユーラシアプレートが正面衝突し、浅い場所で、断層が上下にずれる逆断層型の地震が発生したと考えられます」
過去にも、1983年の日本海中部地震(M7.7)、93年の北海道南西沖地震(M7.8)など、日本海側の北米プレートとユーラシアプレートの境目の付近では、大きな地震が起きている。高橋特任教授は、2011年の東日本大震災以降、太平洋プレートの動きが活発化しているとしてこう話す。
「今後も同程度の地震は、新潟や秋田などでも発生する可能性があります」
さらに今回、東日本大震災以来となる大津波警報が発令された。輪島港で120センチ以上、北海道せたな町で60センチ、長崎県対馬市で30センチなど、北海道から九州の日本海沿岸の広範囲で津波を観測した。