元日の能登半島を、震度7の揺れが襲った。直後から懸命な救出活動が続いている。半島の下でいったい何が起きているのか――。
【独自調査】今後30年間で震度6弱以上の地震発生確率が高い地域
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「経験したことのないすごい揺れで、もうダメかと思いました」
1月1日午後4時10分、同県の能登半島を最大震度7の地震が襲った。震源の深さは約16キロ、地震の規模を示すマグニチュード(M)は推定7.6。大きな揺れは広範囲に及び、女性が住む輪島市は震度6強を観測した。気象庁はこの地震を「令和6年能登半島地震」と名付けた。
地震が起きた時、女性は夕食の準備をしていた。最初の揺れはすぐ収まったので安心したが、続けて大きな揺れがきた。
台所の電子レンジが倒れ、食器が床に散乱し、冷蔵庫の扉が開き中のものがすべて飛び出した。居間のテレビやタンスも倒れ、窓ガラスも割れた。
自宅は海岸のすぐ近く。間もなくして大津波警報が出ると、取るものも取りあえず、家族5人で高台に車で避難した。
夜は避難所に入れなかったので車中泊をした。毛布は自宅から持ち出したが、寒くて食べ物もなく、わずかな水でしのいだ。
一夜明け、自宅を見に行くと、土台のコンクリート部分が大きく壊れていた。住むことができないので避難所に入ったが、この先どうなるかまったくわからず、不安しかないと女性は言う。
「いつもの生活に戻ることを、ただただ祈るだけです」
「流体」の関係性は不明
能登半島ではここ数年、断続的に強い地震活動が続いている。
2021年9月に震度5弱、22年6月には震度6弱、23年5月には震度6強の地震が襲った。その後、国の地震調査委員会は「活動は当分続くと考えられる」との評価をまとめ、防災対策の強化を呼びかけていた。
能登半島で地震が起きるメカニズムは、不明な点が多い。一因と見られているのが、地下深く流れる「流体」だ。地震調査委員会は23年4月、「地下の流体の移動が関与している可能性がある」とする評価をまとめた。