食道がんは男性に多いがんで、飲酒・喫煙が危険因子であることがわかっています。日本人の場合、長い食道の中央あたりに発生しやすく、なかには離れたところに複数のがんが見つかることもあります。初期には自覚症状が乏しく、早期発見には内視鏡検査が有効です。
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本記事は、2024年2月下旬に発売予定の『手術数でわかる いい病院2024』で取材した医師の協力のもと作成し、先行してお届けします。
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食道は、長さ約25㎝、太さ2~3㎝の管状の臓器で、のど(咽頭)と胃をつなぐ食べ物の通り道です。食道がんは、内側を覆う粘膜に発生します。また、食道は、頸部、胸部、腹部に分けられ、多くは胸部食道に起こります。
2019年に食道がんと診断された人は、2万6382人でした(国立がん研究センターがん情報サービス)。男女比はおよそ5:1と男性に多く、60代、70代が全体の約7割を占めます(日本食道学会全国調査 2013年治療2019年解析症例8019例)。
食道がんの発症には、飲酒と喫煙が大きく関わっています。
アルコールが体内で分解されるとアセトアルデヒドが発生します。飲酒して動悸や眠気を感じたり、二日酔いになったりするのは、この物質が原因です。そればかりか、このアセトアルデヒドには発がん性もあります。
アセトアルデヒドはある酵素によって分解されます。しかし、日本人の約45%は、この酵素の活性が弱い体質で、お酒を飲むと顔が赤くなります。
お酒を飲まない人が食道がんになるリスクを1とした場合、お酒に強い人(顔が赤くならない)が毎日4合飲酒した場合のリスクは約10倍になるといわれています。さらに、顔が赤くなる人が毎日4合飲酒した場合のリスクは約100倍で、顔が赤くなる人はより注意が必要です。
飲酒して顔が赤くなるタイプで多量に飲む人は、40歳ごろから毎年検査を受ける
昭和大学病院食道がんセンター教授の大塚耕司医師はこう話します。
「若いころは顔が赤くなったが、今は赤くならないという人も、リスクは顔が赤くなる人と同じですから、お酒は適量にしておきましょう。また、アセトアルデヒドは唾液中に出てきて、のどのあたりもアセドアルデヒドにさらされます。そのため、食道がんに咽頭がん、喉頭がんが合併するリスクも高まります。飲酒だけでなく、喫煙習慣もあれば、リスクはさらに高まります」