1月1日午後4時10分ごろ発生した、石川県能登地方を震源とする地震は最大震度7を観測、北海道から九州にかけての日本海沿岸の広い範囲に津波や家屋損壊といった被害を及ぼした。特に石川県の被害は大きく、災害派遣要請に基づき自衛隊は1日から活動を開始した。災害が起こった時、被災地のニーズにコミットし、集まったボランティア等を差配する災害支援の専門家たちも、すでに動き始めている。
【写真】断水すれば、排泄物を流すこともできなくなる。専門家が見た現地(全8枚)
* * *
能登半島地震の被害を受け、専門技術を持った緊急支援団体もすでに動き始めている。
奈良県に本拠を置くNPO「災害救援レスキューアシスト」代表の中島武志さんは、2日昼に関西を出発し、夜19時過ぎに石川県七尾市に入った。このあと、能登半島の先端に近い珠洲市に向かうという。昨年5月の奥能登地震でも支援に入った地域だ。
食事状況の調査や炊き出し支援
「七尾市ではコンビニが営業しており、電気も通じていました。ただ、これから先の半島部は状況が見えません。慎重に現地へ向かいます」
発災から24時間以上が経過した今も、被災地の状況は断片的にしか伝わらない。2日午後9時半の段階で55人の死亡が確認され、3万人以上が避難しているという。全壊家屋は珠洲市だけで1千棟にのぼるとの情報もある。
中島さんらの支援活動も手探りだが、被災状況の大きさから、まずは“人命にかかわる支援”に集中するという。
「少なくとも1週間くらいは、在宅避難者の食事状況の調査や炊き出し支援など、『生きる』ことに直結する支援になると思います」
2日夜からの降雨も懸念されているが、
「被災家屋の屋根へのブルーシート張りなどはその後になる。今回は被災地域が広く、支援もかなり時間がかかるでしょう。珠洲では、去年の地震後に地元の消防団員らに被災家屋へのブルーシート張りを指導していて、現地でも張れる人がいます。ほかの被災地域にもそうした取り組みを広げたいと思っています」
2日夕方には能登町へ
災害支援団体間の調整やボランティアコーディネートなどを得意とする「災害NGO結」代表の前原土武さんは、2日昼過ぎに七尾市に着き、そのまま北上して2日夕方には能登町に入った。