
いつまでも健康で生き生きと過ごすために、正しい食習慣は欠かせない。「3食規則正しく食べる」ことが健康の基本だと言われるが、ハーバード大学で栄養学を学び、アンチエイジングクリニックを開院した医師・満尾正氏は、「刷り込み」だと指摘する。では、どんな食べ方が健康的なのか。朝日新書『ハーバードが教える 最高の長寿食』から一部を抜粋、再編集して解説する。
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空腹時だけ食べる
「空腹に勝る調味料はない」と言われますが、これはおいしく食べられるというだけでなく、健康面からも理にかなっています。空腹を感じることはとてもメリットがあることですが、現代人の多くは空腹を感じる前に間食や食事をしてしまう傾向にあり、それによって大事な生命維持機能が阻害されています。
空腹でいると、栄養が届かなくなった細胞が「オートファジー(自食)」と呼ばれる大掃除を始めます。これによって古くなった酵素や不要になったたんぱく質などを分解し、細胞の機能が保たれるのですが、掃除をする前にまた食べてしまうと、不要なものが細胞内に溜まっていくことになります。
また、空腹を感じないとホルモン分泌も妨げられてしまいます。空腹時は胃からグレリン、満腹時は脂肪細胞からレプチンが分泌されています。この二つのホルモンはシーソーのように拮抗して、上がったり下がったりしながら食欲をコントロールしているのですが、さほどお腹が空いていない状態ではグレリンの分泌はわずかです。そこで何かを食べてしまうと、レプチンもうまく分泌されません。レプチンがしっかり分泌されれば食べ過ぎることもないのですが、食べているわりには満腹感を得られず、結果として食べ過ぎてしまい、悪循環になってしまうのです。