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朝食は軽めに(写真:Getty Images)

 いつまでも健康で生き生きと過ごすために、正しい食習慣は欠かせない。「3食規則正しく食べる」ことが健康の基本だと言われるが、ハーバード大学で栄養学を学び、アンチエイジングクリニックを開院した医師・満尾正氏は、「刷り込み」だと指摘する。では、どんな食べ方が健康的なのか。朝日新書『ハーバードが教える 最高の長寿食』から一部を抜粋、再編集して解説する。

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空腹時だけ食べる

「空腹に勝る調味料はない」と言われますが、これはおいしく食べられるというだけでなく、健康面からも理にかなっています。空腹を感じることはとてもメリットがあることですが、現代人の多くは空腹を感じる前に間食や食事をしてしまう傾向にあり、それによって大事な生命維持機能が阻害されています。

 空腹でいると、栄養が届かなくなった細胞が「オートファジー(自食)」と呼ばれる大掃除を始めます。これによって古くなった酵素や不要になったたんぱく質などを分解し、細胞の機能が保たれるのですが、掃除をする前にまた食べてしまうと、不要なものが細胞内に溜まっていくことになります。

 また、空腹を感じないとホルモン分泌も妨げられてしまいます。空腹時は胃からグレリン、満腹時は脂肪細胞からレプチンが分泌されています。この二つのホルモンはシーソーのように拮抗して、上がったり下がったりしながら食欲をコントロールしているのですが、さほどお腹が空いていない状態ではグレリンの分泌はわずかです。そこで何かを食べてしまうと、レプチンもうまく分泌されません。レプチンがしっかり分泌されれば食べ過ぎることもないのですが、食べているわりには満腹感を得られず、結果として食べ過ぎてしまい、悪循環になってしまうのです。

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満尾正

満尾正

満尾 正(みつお・ただし) 満尾クリニック院長・医学博士。日本キレーション協会代表。米国先端医療学会理事。日本抗加齢医学会評議員。1957年、横浜生まれ。1982年、北海道大学医学部卒業。内科研修を経て杏林大学救急医学教室講師として救急救命医療に従事。ハーバード大学外科代謝栄養研究室研究員、救急振興財団東京研修所主任教授を経た後、2002年、日本初のキレーション治療とアンチエイジングを中心としたクリニックを赤坂に開設、2005年、広尾に移転、現在に至る。主な著書に『世界の最新医学が証明した長生きする食事』『食べる投資 ハーバードが教える世界最高の食事術』(アチーブメント出版)、『世界最新の医療データが示す 最強の食事術』(小学館)、『医者が教える「最高の栄養」』(KADOKAWA)など多数。

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