会見で謝罪するダイハツの奥平総一郎社長(左)

 前出の介護タクシー事業者の幹部が続ける。

「高齢者を乗せて、万が一のことがあったらどうしようと思います。いまのところ、問題なく走れているですが……。ダイハツに何か動きがあれば、柔軟に迅速に対応していきたいです」

 ダイハツは、軽自動車の福祉車両にも力を入れており、車いす移動車「タントスローパー」、昇降シート車「タントウェルカムシートリフト」、回転シート車「タントウェルカムターンシート」などを手がける。

 2017年に行われたアジア最大規模の福祉機器の総合展に、車いす移動車から昇降シート車まで、全種の軽福祉車両を展示したことで、同業界から注目を集めた。

「福祉車輌取扱士」を持ったスタッフ

 ダイハツの関係者が内情を語る。

「タントは、子育て世代からシニアまで顧客層が幅広いです。足腰が動かしづらいシニア向けに、タントは助手席の前側に手すりをつけるなど、工夫もされている。当初は業務用の福祉車両を手がけていましたが、2010年代に入って在宅介護が必要な高齢者にもニーズがあると判断し、家庭向けに価格を抑えた軽自動車の福祉車両を手がけ始めました」

 ダイハツは、既存のディーラーの一部を福祉車両販売店として全国展開している。福祉車両の専門資格「福祉車輌取扱士」を持ったスタッフがサポートする。

 これまで各地のディーラーを通じて、行政に福祉車両を無償で貸与してきた。愛知ダイハツはそのひとつ。23年3月に同社は福祉車両を岡崎市に無償貸与した。同車輌は、岡崎市の社会福祉協議会が一部の地区に住む住民への移動支援で利用している。

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