市職員も口出しできず
【温泉利用券】
市が発行していたが、財政上の手当や発行枚数の上限などは定められていなかった。内部手続きや議会のチェックはなく、市が債務負担することが事実上許容されていた。元課長が送付先を決めており、課内での基準などはなかった。
【おせち料理】
返礼品やコロナ禍で対応した医療従事者へのお礼を目的としていたが、元課長が単独で発注先と交渉。課内での討議はなし。契約金額4800万円は議会の議決が必要だが議決は経ず、契約書もなし。公益上必要であるか不明のまま、多数のおせち料理が個人や事業者などに無償配布された。
【過剰労働の放置】
ふるさと納税の申し込みが増える12月、1月は事務作業が多い。2020年の両月は時間外労働が200時間を超える職員が存在したが、措置はなし。
【問題発覚後の市の対応】
温泉利用券について総務省から報告を求められる段階に至っても市の対応は悪かった。「旅館連盟と協議して1枚当たり5500円で計算し、3割基準を満たしている」などと報告していたが、それを確認できる資料はなく、旅館連盟との協議がなかったことも判明した。虚偽の公文書作成の疑いがあり、外部団体を巻き込んでの偽装をしていた。
【市長、副市長ら幹部のコンプライアンス意識の低さ】
市長らが元課長を評価し、元課長のやり方などを無条件で容認したことで元課長を増長させ、様々な違法、不適切な事務処理につながった。結果的に元課長のやり方に疑問を持った職員も、市幹部に認められている元課長に口出しができない状態になっていた。市長ら市幹部は法令順守より寄付の受け入れ額の増大を優先するような姿勢を維持していた。